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37 魔道具作成

商店街や飲み屋などの繁華街が形になってきた、ある日の事。


「あれ?パソコンやスマホ用のソフトやアプリの種類が変わった」

その日俺が、パソコンでソフトを確認すると、表示されるソフト構成が大きく変わっていた。


“Mgr view”

“素材スキャン 物知り博士”

“永久保存版 原色世界の魔物図鑑”

“暦ちゃん(農作少女キャラ)と季節のお野菜”

“カロリー計算 脱リバウンド”

“自分で作れる日本のおもちゃ大図鑑”

“にゃんとも不思議な餌皿”

“自動翻訳 バイリン君”

“これなら出来る秘密基地”

“はじめての魔道具作成 new”

”自動作成 魔方陣 new “

“魔トレ 魔力トレーニング new”

“思考遮断ジャミング君 new”

“図解でわかる洋裁 new”


ピロンピロンピロン

俺は懐からスマホを取り出しメールを確認する。


差出人:管理者 

件名:業務連絡 

本文:DL回数及び起動回数の少ない一部ソフトを、削除し以前より要望のありました内容と、関連性の高い物を追加で導入いたしました。同時にスマホアプリも同様の対応をさせていただいております。

ドワーフ族の救助と建国の成果を称え、新たに褒賞を授与します。

以下の褒賞品項目からお好きな物を二つお選びください。

①自身のステータスアップ

②店舗機能の強化:食品生活雑貨店併設。

③店舗機能の強化:衣料品店併設。

④店舗機能の強化:店舗外領有権の設定(店舗能力の及ぶ範囲の増大 人口×100㎡)

⑤店舗機能の強化:商品の補充設定機能追加。

⑥人造ダンジョン(永続)。ダンジョン内で指定した店舗商品を産出します。

⑦トールハンマー使用権(一回)


あなたの忍耐に感謝致します。


人気のあるアプリを残して、それ以外を入れ替えた・・・・。トップスリーは良いよ、お野菜も畑関係と思えば理解できる。しかし、カロリーとかおもちゃとか誰がDLして利用してるんだ? 餌皿、バイリン、秘密基地も謎だぞ・・・・半分ぐらいはリリパットが絡んでいそうな気もするが、憶測で物を言うのは駄目だな。

それと・・・・。


「選べる褒賞?結婚式の引き出物カタログじゃあるまいし・・・まあ、これは後でいいや」


新しいアプリは、魔法系が多いな。魔力トレーニングに魔道具作成など、正に俺が欲していたアプリだ。なんと言っても俺のステータスは・・・。


「ステータス」

【鑑定:ステータス】

名前:奈良 健人 (なら けんと)

種族:人族(男)

年齢:18歳

職業:ナラ公国 公王

レベル:1

生命力:120/100

魔力:一毛(0.001)

筋力:120

敏捷:40

知力:60

状態:


ステータス表記の変更通知を受けた後、念のため神様に確認したら、俺の表記だけ前任の女神様がやっていたらしい。・・・わざとか? あの女神様は自分のミスなのに、俺に逆恨みしていたんじゃないだろうか。

スキル:運転3・会計3・ 潜伏2・大工2 ・左官1・武器作成2・投擲2・射撃2・槍術2

魔法 :

ギフト:鑑定・ホームセンターⅡ

所持品:サイフ・スマートホン・皮鎧


ステータスが数字表記になって他の者との比較ができるようになった。筋力や敏捷・知力など、この世界の人族としては中々高いほうだ。ガイアンに聞くと以前俺が、力いっぱい握手したときは、手のひらが潰れるかと思うほど痛かったそうだ。知らず全力で握ったからねえ。しかし、それでも常識の範囲内なので、異世界に召喚された勇者がこのステータスだったら、その場で処分されそうな感じはする。相変わらず魔力は低いが、何気に1000倍に増えている。いや、微レ存を微粒子=μ(マイクロ)とした場合は0.000 001だからね。これは増えているといって間違いないだろう。・・・もちろん魔法が使えるわけではないが。


アプリをインストールし、先ずは魔トレを起動する。

【魔力トレーニング・ステップ1】

魔石を使って魔力になれよう。

魔石は魔力を放出しています、魔石を体内に入れる事で、体を魔力に慣らし、魔力を使いやすい体を作ります。魔力の少ない方は魔石の欠片を口に含む事で体を魔力に慣らしましょう。痛い痺れるなどの違和感がある場合は、魔石を小さくしてみましょう。


「なるほど、魔石の欠片か。確か以前リリパットが持ち帰った欠片が事務所の引き出しに入れてあったな」


俺は事務所に行き目的のものを、取り出しマッチ棒の頭ほどのそれを口に含む。


「ん~~ん? しび・・・れる・・・がは!」


やばい、口に入れたら舌先から一気に痺れてきた。これでも大きすぎるのか・・・

その後、胡麻の半分ほどの大きさに切り分け口に含む。多少の違和感はあるが、耐えられないほどではない。しかし、これで本当に効果があるのだろうか。


「これは舐めるというサイズじゃないな・・・飲み込んでも効果は持続するのかな・・・」


まあ、自分の魔力については半ば諦めているし、もしかしたら魔道具や魔方陣で代用できるかもしれない。


「次は、はじめての魔道具作成にするか。起動して・・・・これは魔道具の作り方を解説している参考書みたいなものか・・・えっと、何々・・・魔道具は、魔力伝導性金属などで描いた魔方陣と、魔石と道具により構成されます? 通常魔石は魔法陣の中央に配置され、魔方陣に魔力を供給しその効果を発揮します。魔石は周囲から魔力を吸収しますが、消費が吸収を上回る場合など、魔石はじょじょに魔力を失います。しかし中央の魔石を交換することで、魔道具を長期間使用する事ができます・・・」

今俺の口に入っているものはどうなってんだ。俺から吸ってる?それとも吸うほどないから、外から集めてるのか? 

「・・・また、魔法金属が無い場合、魔石の粉末で代用も可能ねえ・・・」


まあいいや。次は”自動作成 魔方陣”だな、これは・・・おお、作動条件などを入力していくと魔方陣を描いてくれるアプリか、これを写して刻めば魔道具になるのかな。


「魔道陣スキャン機能もあるようだな・・・魔法の鍵はスキャンできるかな」


取り出したゴールドの鍵にスマホのカメラを向けると、画面に魔方陣らしき文様が浮かび、ピッっと電子音が鳴る。QRコードの読み取りみたいだな。続いて“読み取った魔方陣を起動しますか?”というメッセージが表示されたので起動を選択するが、何も起こらない。スキャンに使用した鍵を挿しても何も起こらないので、改めてペアになっているもうひとつの鍵を挿してみる。


「開いた!」


鍵のほうは今までと同じだが、スマホで起動した鍵は目の前の空間に、ドアサイズの黒い・・・穴?が生じている。


「こういう時は、まず実験だ」


手ごろな石を拾い黒い穴に放るともう一方のドアから石が出てきた。これは鍵の代用になるのかな。

一人では調べにくいので、レオノールとモーブ、シデンに協力してもらうことにする。それぞれのスマホにも同じアプリをDLさせ、お互いに起動する。同時に二つの鍵も起動する。

読み取り起動した構成はこうだ

俺:鍵複製A

レオノール:鍵複製A'

モーブ:鍵複製A

シデン:鍵複製A'


それぞれ起動し検証した結果、鍵は起動順で優先されることがわかった。

魔法の鍵Aを起動中に俺が対応するアプリでA'を起動すると、鍵とスマホで接続となる。この状態でレオノールがスマホにてAを起動しても、アプリ同士はつながらない。更にモーブがスマホでA'を起動したな場合レオノールとモーブでつながる穴が開く。スマホで鍵Aを二つ起動させた状態で鍵A'を起動すると、起動が早かったAに接続される。そして扉はアプリを終了するまで保持される。


「使い方によってはすごく便利だが、これは危険なアプリだな」

「そうだな、他の魔道具はどうかわからないが、この鍵が複製されるのは防犯上良くないな・・・というか、このスマホの方が超高度な魔道具なんじゃないか?」

「まあ・・・地球のスマホにこんな機能は無いし、俺もなんとなくおかしいとは思ってたんだ。この世界に来てからこのスマホ、いちども充電していないのに、バッテリーが減る気配が無いし」


この鍵魔方陣は使い方しだいで、世界が変わりかねないほど危険だな。幸い鍵は俺が二組保持しているが、帝国は元々三組保持しているという話で、一組がまだ見つかっていない。帝国の研究室からぱくった物の中にあればいいんだが、まだ確認していないので所在不明だ。


「とりあえず、大体の事はわかった、協力ありがとう。この魔方陣アプリは制限をかけるので、あまり他言しないでくれ」

「わかった。また何かあったら呼んでくれ」


モーブたちが去り、改めて魔方陣アプリを使用する。次は新しい魔法陣の作成だ。

魔方陣作成機能だが、どうやらこれは、フローチャート(流れ図)で動作を設定していくもののようだな。魔法を行使するための工程の各段階を指定の箱記号や矢印で表し、記号内に条件を設定していく。その条件に応じて工程が分岐し次の工程へと進むといった具合で、これ自体が魔法を使うためのプログラムのようなものだろう。

本来これらの内容を、魔方陣としてあらわすには、極めて高度な知識が必要となるが、その部分をアプリが肩代わりしてくれるということで、正直このアプリを世に出すのは俺の店以上に、問題があるように思える。


「まあ、とりあえず何か作ってみるか・・・」


俺はスマホをしまい事務所へと向かう。事務所のPCに同じソフトが入ってるから作図ならPCの方が楽だからな。




「意外と簡単にできたな・・・・」


そして、一時間程後、俺は試験的に作り出したクルクル回る木板を眺めながら、つぶやく。

フローチャートという、プログラムもどきを基に作成された魔方陣は、それなりに複雑な図形だったが、それを熱転写用紙にプリントし、アイロンで木板に転写した後、魔方陣をなぞる様に接着剤を薄く塗り、魔石の粉末をかけて定着させた。いわゆる砂絵の要領だ。そして、出来上がった木板は、俺の目論見通り、軽く衝撃を与えると、クルクルと水平に回転する。これをプロペラと組み合わせれば、扇風機や換気扇、果ては船外機や飛行機のプロペラもできる・・・かもしれない。


「あれ、止まらない・・・」


正しくは再度触れば止まるのだが、それを持ち上げようとすると再び回りだす。何の加工もしていない板切れが回っても何の意味も無い。無理やり押さえ込むと魔方陣が赤く光りだした。


「や、やばい!」


慌てて板を放り出すと、ボフッという軽い爆発音の後、魔方陣が燃え木板から細く煙が立ちのぼる。


「あぶねえ、無理をさせると爆発するのか。最低限、起動スイッチと解除スイッチを、仕込まなきゃ複雑な装置なんて危なくて何も作れないな。」


扇風機のような、家電の代用品も悪くないが、俺が作りたい物の一つが紫外線浄水設備だ。生活水や飲料水を、店の水道水から川の水に置き換えるには、浄水設備が必要になる。一応沈殿槽を通した後に炭や砂利などで、ろ過装置を作り更に、加熱殺菌してから配水する予定だったが、紫外線浄水器があればより安全になるはずだ。

まあ、文明と人口から考えると、江戸時代的に川の水をそのまま配水し、上水井戸を設けて各戸汲んでもらうのでも良いかも知れないが、俺的には川の水をそのまま沸かして飲むというのは正直嫌だ。


再び、魔方陣を作成する。

差し当たり、紫外線を放出するという命令を記入し、命令実行と停止のためのスイッチを設定する。これはフローチャートに、非常停止の判断をする工程と、手動による停止のために割り込み処理をするための作図をしている。

魔法陣化を行うと、プログラムの本体となる大きな魔方陣と、入り・切りと書かれた小さな魔方陣が二つ描かれている。大きな魔方陣からは2本の線が、小さな魔方陣からもそれぞれ一本線が突き出ている。ご丁寧に、それぞれの線に記号が書いてあり同じ記号で接続するようだ。再び印刷し、前回と同じ処理で魔方陣を描いていく。

店内に戻り、UVカット加工のシートと紫外線保護めがねを用意し紫外線対策をした上で、魔方陣を起動する。


「う~ん。光って無い・・・あ、紫外線って可視光線じゃないや」


通常、紫外線殺菌装置は、青い色を発しているが、これは安全のためにあえて、そういう色を付けているので、本来は可視光線ではない。


「んじゃ鑑定、紫外線発生量」


【鑑定:紫外線発生量】

紫外線発生量 波長254nm 30W

参考:40W殺菌灯直管 約20W


あ、参考も表示された・・・。鑑定の神様ありがとうございます。


「基本的には、これを量産すれば、クリーンで安全な水を手に入ることができる」


後は、発光時に色を付けるとかすれば、良いだろうな。魔力伝導性金属についてはドルトンかアントニャオ殿下ならば、何か知っているだろう。


この物語はフィクションで有り、作中のアプリは、実在するアプリとは関係ありません。


ネタにしたわけではなく、スマホに魔法陣アプリがあると思ってなかったので、書き進めてから

アプリがあるのを知り驚きました。

アプリ評価のコメントをしている皆さんが、いったいどんな魔法を作っているのか気になるところです。


次回8月17日 20時です


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