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25 長命種族、昔を語る

「500年前に魔力暴走で周囲を巻き込んで、魔法王国が消滅しましたが、そもそも戦争の原因は帝国だったそうです。帝国は人口の殆どが人族で、魔法は苦手です。生活に必要な魔法は魔道具で補っていましたが、魔道具を買うにしても、それなりに資金が必要になります。帝国はこれを戦争で賄おうとしました。普通は戦争で儲ける前に、まず戦費が必要ですし、自軍の兵が減ればその保障をしなければいけません。なので普通は戦で儲けようなんて博打は考えないんですけどね。そんな帝国が囲っていたドヴェルグが偶然か故意か、奴隷の魔道具を作成し、そこから帝国の覇権政策が一気に加速します」

「ドヴェルグはわしらドワーフと違うて、作る事以外に関心が無い種族じゃ、やつらは『悪い、ちょっと待ってくれ。シデン、ランデン長老に来るよう伝えてくれ』・・・うむ、そうじゃの長老殿の意見も聞かせてもらおう」



間もなくランデン長老が現れ、話を再開する。


「ドヴェルグは普通の生物と違うんじゃ、わしらドワーフは武器を作るが、その武器を使う者と振るわれる武器が、世にとって良いものか悪いものか、少し位は考えておるし、わしらは、出来の良い武器も悪い武器も、それに足る技と心を持たぬものには渡さぬ。じゃがドヴェルグは作る事にだけ喜び意識を向け、作ったものがその後どうなろうとも、まったく意に介さぬ」

「そうじゃな、ドヴェルグは妖精としても異質じゃ。あやつらは“生きる”事に、さほど関心が無いんじゃ、只ひたすら分けの判らぬものを作り続けるだけの存在じゃ。昔から“ハエの王はすべてを食らい、何も残さぬ”というが、元が蛆虫のドヴェルグは“ドヴェルグあれば青海も汚物に埋まる”と言われるほどゴミを撒くんじゃ。それに同属意識なども持たぬから、戦争の終盤では帝国と魔法王国に分かれてそれぞれ開発競争しておったという話じゃよ」


ハエの王ってベルゼブブか?確か七つの大罪で暴食に関連付けされてるけど、偶然だよな? それにしても、長老は相変わらずドヴェルグに厳しいな。ドルトンと二人で否定しまくりでドヴェルグぼろ糞だな・・・俺、この場にドヴェルグが居たなら“もうやめてあげて、ドヴェルグのHPは0だよ”とか言ってしまいそうだよ。


「他種族を隷属させるうち、北の帝国は完全に人族至上主義に染まります。対して魔法王国には元々複数の種族が暮らしていたため、帝国に追われた多くの種族が庇護を求めて集まります。最初は戦力強化になると考えてか、魔法王国は難民を受け入れますが、帝国につかまり隷属させられた奴隷部隊の同族と戦うことになる難民は、満足な戦力にならず、むしろ魔法王国にとっては食料を消費する重荷という扱いを受け魔法王国を追われます」

「まあ、そのおかげでワシらの先祖は難を逃れたともいえるがの。一部の戦争を嫌った人族や、ワシらの先祖が魔法王国を出て間もなく、魔法王国はドヴェルグを引き抜き、強大な魔法攻撃を帝国軍に向け撃ち始める。しかし、その魔法行使の代償に周囲の土地から魔力が無くなり大地は急速に力を失って行ったという話じゃ」

「やがて周囲の土地から魔力が無くなり、攻撃が出来なくなった王国は、帝国軍に完全に包囲されたんじゃが、そこで謎の爆発がおきて魔法王国は消滅してしまった。帝国軍兵力の大半巻き込んでな。そうなると、帝国も覇権どころではないじゃろ、なんせ周辺地域から怨まれまくりじゃからな。かろうじて帝国首都を守ったという感じじゃったが、その後は大きくなっては内乱で萎むという事の繰り返しじゃな。あの国は敵が居らんと身内同士で争い始めるんじゃ」

「それから200年ほど経ったある日、この場所に突然魔力が集まりだして、急速に森が育ち始め、帝国が内戦期だったこともあり、近くに居た者達が森の周囲に移動して生活を始めます。まあ最初は森が安全かわかりませんでしたから、様子見していたそうでけどね」

「その後、徐々に森に出入りするようになり、帝国の内乱終結を期に森の中に隠れて生活するようにしたんじゃよ。この森の周囲は魔力を失った影響でいまだ荒野じゃから荒野を挟んで森と外の地域に分かれた感じじゃな」

「帝国のドヴェルグはどうなったんだ?魔法王国と同じような攻撃をはじめたり、再び隷属化で戦力を増やしたりすようなことは無かったのか」

「魔法王国との戦争後は、そんな事なかったようですよ。ドヴェルグが戦争で死んだのか後の内戦で処分されたのか、その辺りはまったくわかりません。帝国は最近・・・といっても10年ほど前からですが、また外向きに、戦争を仕掛けているようですが、国力も大分低下しているとかで、仕掛けて反撃され撤退の繰り返しらしいですよ。ヨルンの町での噂ですけどね」

「この森に攻め込むにしても、帝国の兵力をこの森に送り込めば本国が手薄になる。距離もあるからそう易々と行き来できんから、ここに攻め込むのがばれれば帝国が滅びかねんじゃろ」

「そうか・・・しかしそうなると、あの鍵が気になるな。戦争中に作られたものだとして、更地になった程の爆発の中で、あの鍵が壊れずに残ったと思うか」


スプリガンが狙ってあそこに鍵を仕掛け何処からか攻撃してきたとなると単なる偶然とは思えないんだよ。


「壊れない事もあるじゃろ、魔道具は強力な物ほど壊れにくいからな。しかしそれを使うとなるとな・・・この森にドヴェルグが入り込んだのか、それともドワーフに成り代わっていたスプリガンが鍵を見つけ利用したのか・・・明日にでも住処に戻ってみたほうが良いかも知れん。案内を頼めるか」

「ああ、気になるから俺も行こう」



そして・・・

ジリリリリリーーン

「はい、もしもしケントです」

『ごきげんよう、ケント。さて、今回の指令だが...』

「ちょ、おま、誰だよ」

『ん? モーブだがどうした』 

「・・・今、変なこと言わなかったか?」

『いや、普通に電話というものを試しただけだぞ』

「そうか?そうだったかな・・・じゃあ、切るぞ」


「ケントさん、スマホをありがとうございます。これで何時でも村と連絡が取れます」

「いや、俺も連絡手段が無いのは問題だと思ってたから良かったよ」


事務所での打ち合わせを終えた後、ラーメンを食べにテナントへ向かった。俺がラーメンを注文すると皆同じものを注文し、食べ方を説明することになった。以前からインスタントやカップの麺を食べていた連中と違い、エルフとドワーフは少々苦戦していた。エルフの食事スタイルは日本人に近い。と、いうのもエルフは金属製品の作成が得意ではないので、基本的に木製の食器や木製のフォークやスプーンのようなものを使用し、ヨーロッパ文化におけるカトラリーにあたるような食事用ナイフは用いない。日本と同様、食卓に上がった時点で料理の多くは一口大に切られており、これを二股の串のようなフォークで食べ、汁物や小さなものは木製スプーンを使用する。逆にドワーフは金属の食器を使用し、ナイフとフォークやスプーンもあるらしいが、彼らの多くは必要最低限しかそれらの道具を使わないらしい。さすがに米のような穀物を手掴みで食べることはしないらしいが、肉はできる限り骨を付けたままにして骨をつかんで食べ、生野菜なども丸ごと掴んでかじるようだ。ドワーフは麺をフォークですくって食べようとするが、顎鬚がどんぶりに入りそうなのが見ていて凄く気になった。

夕食後は皆で携帯ショップを調べたが、スマホを購入する事ができるとわかると皆欲しがった。早速皆にスマホを提供し使用方法を教える。

販売用スマホは所有者を登録でき、もし盗まれても登録者以外は使用できないし、所有者の下から離れて、一定の時間を過ぎると自動で所有者の下に戻るらしい。また、端末ごとに利用可能なアプリの制限もできるようだ。


ピロンピロンピロン

「あ、スマン、メールだ」

差出人:ランデン 

件名:ランデンですじゃ


本文:大きさ的に電話よりメールの方が楽ですじゃ。

なお、このメールは5秒後に自動的に消滅するのじゃ。

それがお約束じゃ


「長老おおおおおおおおお」


いったい何処のスパイだよ。さっきのモーブの台詞も長老の入れ知恵だな?イーサン・ハントとナラ・ケントって最後の“ント”しか合ってねえぞ。


現在店内では、いたるところでスマホの機能を試している姿が見えるが、一部には少々は羽目をはずしすぎている者がいたようだ。



「あ、お館様、シツジーちゃんたちに与える餌の事を教えて欲しいんだけど、今時間はあるかしら」


店舗内を見て周り入れ替わった商品などを確認していたらレオーネさんに呼び止められた。


「シツジーの餌ですか?エルフの飼育係に聞いた話では、あいつらその辺の草を食べていたそうですが・・・今からじゃ難しいですね」


シツジーというのは、こちらの世界の生き物だが、限りなく近いと思われる地球の生き物がいる。名前で分かるように羊だ。間違っても草を食べる執事ではない。今まで、ほぼ日本語と同じ名称で呼ばれる生き物や物品が多かったが、たまにこうして違う名前の場合もあるようだ。・・・まあ、実は転生者が関与していて、江戸弁で“シ”と“ヒ”が入れ替わったとか言われても納得できてしまいそうだけどな。


「あら、どうしましょ。だいぶお腹をすかしているようなんだけど」

「そしたら、ハリウサギに与えてるペットコーナーのウサギ用の干草と猫草(燕麦)を与えてみてください。明日は森の浅いところに連れて行って草を食べさせてあげるといいですね。ガーデンコーナーは食べられない草もあるので連れて行かないでくださいね」

「わかったわ、早速与えてみるわね」


エルフ曰く『シツジーは長い毛が生えるのでこれを刈って布を作れますし、乳を搾って料理に使えます。乾酪も作っているんですよ』とのことだった。

見るからにヒツジなシツジーの、シツジー乳に乾酪か。・・・シツジーバターも作れるよな? ホワイトソースが作れればシチューが食える。・・・毛も将来的には重要な産業になるかな。

それにしても、事務所でしていた話との落差が激しいが・・・ドワーフ集落で大事にならなければいいな・・・。やはり平和が一番だよな。


次回24日20時です

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