テロリストの8怒声は、逆転劇と共に。
無理やり感が半端ないですが。
俺は、板張りの地面を靴で蹴り、腕を上げ下げしながら走る。
サングラスは、俺が射程距離に来るのを予測し、斬れる糸を出した。
俺がサングラスの射程距離にはい――らず、ギリギリの所で踏みとどまる。
後ろに一歩下がって、サングラスに視線を移す。
サングラスは、来なかったかと呟いて自分から、こちらに来た。
サングラスが一歩こちらに来ると、俺は、一歩下がるそれの繰り返し三歩ほどしたあと、
突然サングラスは、左手の拳を握りこちらに向かってくる!俺は、それに驚きながらも体勢を反対側に向け、駆け出す。
「わたっ」
糸で上履きが切られ足が抜ける。
危ない危ない。
もう少しで足後と切断されていたと、内心冷や冷やしながら逃げる。
サングラスは、逃げだす俺を見て、
こんないたちごっこじゃあ、埒が開かんなと思い、
俺とは逆方向に、走った。
「えっ...」
俺は、後ろを振り返った。
サングラスは、逃げていた。
不味い。このままじゃあ射程距離から、離れる!
急いでサングラスの元に走った。
が、
これは、サングラスの巧妙な罠だった。
俺がこちらに来たことを確認したサングラスは、
ある程度近づいてきたことを確認して
後ろに振り返った。
「わっ」
俺がこれは、釣りだったと気づいて足を止めた
次の瞬間!
膝が斬られた。
切り口は浅く、軽傷だったが、俺を地面に尻をつけるほどの傷であった。
立ち上がろうとしたが何せ膝が斬られたもんで、なかなか立ち上がるのに苦労する。
その隙にサングラスは、射程距離についた。
うっ万事休すか....!
とからだが切られる感覚がした。
ああ、体がサイコロステーキのようにバラバラになり修復不可能に―――
はならなかった!
斬られる前に何発か銃声がしたのだ。
俺は瞑っていた目を開ける
床には何発か真っ二つに斬られた銃弾が落ちていた。
頭をサングラスの方に向ける。
サングラスは、厳しそうな顔で視線のさきにいる人物を見ていた。
サングラスの視線を辿ってみるとそこにいたのは....
ライフル銃を持った香取だった
香取は、腕を真っ赤にしながら、サングラスに再びライフル銃を向けた。
「ウワァァァ!!」
という怒声と共に引き金を引いた。
放たれた弾は、サングラスの胸に向かっていた。
しかし、
擦り会わすような音と共に、サングラスの足元に弾の残骸が落ちた。
サングラスは、ため息をついたあと、ゆっくりとした足取りで、香取に近づいて行った。
香取は、ライフル銃の衝撃を体で受け止めながら撃っていたが、それも全て、切り落とされて行く。
駄目だこのままじゃ....!
俺はこのままでは、香取が銃ごと、切られてしまう。この真っ二つにされた銃弾のように.....
どうにかしなきゃ。
俺は、立ち上がろうと、膝を立てた。
痛みが膝に集中する。
「ぐっ....」
歯を食いしばって痛みをこらえる。
大丈夫だ傷は浅い。
傷は.....浅いんだ!
膝から流れる血を見ながら、俺は、立ち上がる。
怪我をした足を、引きずりながら、香取の元へ走る。
「まだだ。まだだ」
香取は、ぶつぶつそう呟きながら重いライフルをじっと支えていた。
ぶつぶつ呟いているのは決して頭がおかしくなった訳ではない。
喋ることで脳を活性化させる。
正気でいられると確信していたから。
だから、ただ、ライフルの引き金を引き続けているのだ。
しかし、内心、香取は、思っていた。
何故恐怖をしているのだと。
初めて握るライフルの恐怖?人を撃っているという、感覚による恐怖?
いや違う。
香取は、サングラスをじっと見た。そして思った。
(こいつにさっきから弾をうちつづけているのに、無傷だということに恐怖しているのだ。)
弾は、サングラスの体を突き刺す前に、糸によって切り落とされて行く。
下手な鉄砲数打ちゃ当たるというそこそこ有名な格言があるが、こいつには全く当たらない。
(これが.....異能者....!)香取は歯を食い縛った。
そんな事を考えるうちにもサングラスは、徐々に...徐々に近づいてきている。
石橋は、サングラスの後ろに少しずつ近づく。
しかし、近づいたところで、何になるのだと
石橋は、思った。
血の雫が床にポタポタと落ちていき、床に赤黒いシミができる。
膝を掌で押さえようと膝に手を当てようとすると、
尻ポケットに固い感触がした。
何だろうと、取り出して見るととんでもないものが出てきた。
何かに頼りすぎれば、必ず、無くなる。
石油でも、お金でも何でも。
ライフルも同じだった。
中身の弾がとうとう無くなった。
同時にサングラスに対抗できる武器も失った。
僕は、それでもライフルの引き金を引き続けた。
中身がもうないのに引き続けた。
人差し指を曲げる。
かちりと、もう中身ないですよ。と、この鉄の塊からの無言の訴えだった。
サングラスが床を踏みながら歩いてくる。
僕はまだ引き続ける。
サングラスがこちらに近づいてくる。
きっと認めたくないのだろう。
だってこれが無くなるということは....
サングラスが僕の前で立ち止まり、左手を僕の首に近づける。
死と同じなのだから。
呼吸が荒くなっているのを僕は、知った。
あれ?
そういえば何で、こんなにも、息苦しいのだろう?
そういえば何で、こんなにも、腕が痛いのだろう?
そういえば何で、僕は、ここに立って、目をつぶっているのだ?
「お疲れさん。」という言葉と共に、
僕の首が千切られた――――筈だったのだが。
サングラスの掌が、僕の首筋を触れ、首の皮が斬れかかっている所で「待て!」
と誰かが制した。
その声に、サングラスは、手を止め、振り向いた。
僕は、顔を上げ、サングラスの先にいる人物を見た。
石橋は片足だちになりながら立っていた。
痛みはあるが、こらえる。
サングラスは、石橋の膝を指差しながら言う。
「まだ戦うつもりか。
そんなにもボロボロになりながら。
無理をしない方がいいではないか?」
石橋は、声を大きくして反論した。
「今ここで、痛みに負けて、見殺しにするよりか、ましだ!」
「いるな。そうやって、痛みを我慢して、立ち上がろうとする輩は。
だが、そういう奴ほど早死にする。こんな風にな。」
サングラスはそういって、香取の方へ裏拳をする。
香取は、咄嗟にライフルで防いだが、
ライフルは、サングラスのスーツの腕にまきつけられていた糸でバラバラになった。
「っ!」
香取は、鉄の塊を捨てて一歩後退りをした。
サングラスは、体を香取の方へ向けて、手刀を繰り出した。
しかしサングラスの手は、石橋に止められた。
ガントレットを着けた、石橋によって。
サングラスは手首を握っている石橋の手を見ながら言う。
「なんだ?その現代社会じゃ普通あり得んような防具は?」
「占領するのにスーツ姿のあんたよりはよっぽどまともだよ。」
石橋は、そうサングラスに対して言った。
「そうか。」
サングラスは、そう頷き、俺の手を思い切り引っ張り、俺ごと....
床に叩きつけた。
「ぐっふ。」
肺が気管につまり、嗚咽が漏れた
ような感覚がした。
うん?感覚?
あっそうか、痛いのならば.....
サングラスは、石橋の腹に足を向けた。
石橋は、地面に思い切り手を置いて、自分を床を押した。
物理法則で、石橋は、転がった。
しかしサングラスは、それにたいして予想していて、
問題は、どっちに転がるかと考えていた所で、石橋が転がったので、
すかさず足で石橋を押さえた。
「がぅっ」
サングラスの足は、石橋の頭を押さえつけたので石橋は、
頬がむぎゅーと床につぶれる。
石橋は、頭を上げようと体全体に力をこめたが、その分サングラスが足に力を込めるため、ますます頭が痛い。
やむを得ないので手で、サングラスの足を触れて
変感を発動する。
「むっ」
とサングラスの足が脱力するのを確認するのと同時に、手で、
サングラスの足を思い切り押して、サングラスのバランスを崩した。
サングラスが、後ろ向きに倒れると同時に石橋は、立ち上がり、サングラスに飛びかかる!
目標は、サングラスの右腕である。
サングラスは、脱力していない足を石橋の腹に向かって蹴りあげた。
「ごっ」
石橋の腹筋に衝撃が走るが、石橋は、歯を食い縛り、
サングラスの右腕に手を伸ばし、触れた。
そして、そのまま石橋は、サングラスに乗っかった。
「.....重いなお前。」
サングラスは、そう呟いた後、石橋を糸で、釣り上げ、振り子をしたあと、
サングラス香取が立っているところに投げた。「のわっち!」
香取と放り出された石橋は、衝突して、床に崩れ落ちた。
サングラスは、ボリボリ首筋を掻きながら言った。
「なぁ、そろそろ、終わりにしないか?これ?」
石橋はすかさず立ち上がり、
サングラスの方に走った。
サングラスは、またか。
と首を振った後、
左腕の切れる糸で、石橋を切り刻もうとしたが。
するとサングラスのポケットから 着信音が鳴り、サングラスの集中が途切れる。
サングラスは、急いで石橋を引っ掛けようとしたが―――
ガィンガィンと金属が斬れるようなそう、
工場等に行くと必ず聞くあの耳の聴覚がおかしくなるような痛いあの音――
サングラスの耳元にそんな聞くだけで痛くなるような甲高い音がした。
視線を向けると防御用の斬れるいとにライフル銃の弾が火花を散らしながら落ちていた。
視線の先にはそう―――
みんな大好きTHE部長ズ
がライフル銃を乱射しまくっていたのだ。
「オラオラオラオラオラオラ!!」
怒声と共に、放たれる金属の塊は、サングラスの方に向けられていた。
ちなみにこのライフルの持ち主は、隅っこで伸びている。
言うまでもないかもしれないが。
石橋は、THE部長ズの方を見た。
そして、
口を結んで、サングラスの方に駆ける駆ける駆ける!
サングラスは、左手で糸を防御し続けていた。
先ほどの香取の弾と違って、弾の軌道が安定しているのだ。
これは、普段そこまで運動していない香取とは違い、
汗、血、涙を流しながら練習をし続けている、運動部たちの努力の結晶だろう。
(....侮りすぎたか。)
サングラスは、部長ズを見てそう思った。
「うおおーー」
怒声を発し、口を結び、握りこぶしをする石橋。
左手で、斬れる糸を修正しながら防御し続けているサングラス。
石橋を必死に援護している部長ズ。
そして、
「やったれぇぇイシバシィィ!!」
香取は、怒鳴った。
石橋は、飛び上がって、
思い切りサングラスのサングラスごと、
侵略者の顔をぶん殴った。
次回第一章最終回。