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恋愛革命9

一般市民に、メディアに騙され狂った責任を問い質す事は可能ですねと、ホスト亭主は言った。

サラリーマンが続ける。





「もし教科書に売りという語句をどうしても記載するならば、現代社会の収拾不能の狂気エネルギーを代弁する売りという語句が、おいらんを侮辱したと記載すれば面白いのではないかな?」





講師がサラリーマンに尋ねる。





「何故ですか?」





「歴史をも動かした遠大なる狂った差別エネルギーならば、現代社会はその巨大なエネルギーに狂わされた被害者であり、誰も加害者はいなくなるじゃないか?」





講師が首を捻る。





「ちょっと待って下さい。狂った差別エネルギーを醸成しているのはメディアが中心ですよね?」





サラリーマンが頷いた。





「それはそうだろうな。でもメディアに責任をなすりつけたって、メディアは我関せずでとんずらするのが落ちさ。だってメディアは元々バーチャルなものだからな。それに責任を問うのは、やたら力強い透明人間に、責任を取れと言うのと同じだから無意味だろうな。俺はそう思うわ」




講師が一声笑った。





「それは現代人にとっては随分と都合の良い事柄ですよね?」





サラリーマンが微笑み頷いた。





「いいじゃないか。メディアもとんずら、それに騙されていた現代人もとんずらで、責任の所在は跡形もなく消え失せ、おいらんもさぞがっかりするんじゃないのか?」





そう言ってサラリーマンは勝ち誇ったように再びけたたましく笑った。





それを牽制するようにホスト亭主が口を挟んだ。





「いえ、メディアにも、現代人にも責任の所在は、やはり問えると、自分は思いますね」






講師がホスト亭主に質問した。





「それはどうしてですか?」





ホスト亭主が答えた。




「メディアが大衆を誘導する術は体系立ったものがありますからね。だからメディアは世の中にどのような狂気を蔓延させるかも、計算が効くわけです。その計算が効く分、大衆操作術においての失敗という形で、メディアには責任を問い質す事は出来るわけです」




白を切るようにサラリーマンが薄ら笑いを浮かべてから言った。





「そうだよな。メディアには責任を問い質す事は出来るけれども、騙された大衆というか一般市民には責任は問い質す事は出来ないよな?」





ホスト亭主が否定する。





「いや出来ますね。あなたが言っているように、虐められ騙された者が悪いと言うならば、騙された責任は取れるのではありませんかね?」





サラリーマンがホスト亭主を指差し怒鳴った。





「そんなのはペテンじゃないか。論理の陥穽もいいところだ!」





ホスト亭主が無表情に言った。





「そうでしょうか?」

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