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恋愛革命74
このままずっといたいと、ワンレンの女子大生は言った。
港公園の朝。
清澄な空気が朝焼けのグラデーションを映し出す風景。
ワンレンの女子大生の肩を抱きながら、ホスト亭主が言う。
「寒くありませんか?」
女子大生が小さく首を振る。
ホスト亭主が、そのままベンチに女子大生を誘う形を取るが、女子大生がもう一度首を振り、それを優しく拒んだ。
上昇気流に乗り、鴎が滞空飛行しているのを一瞥してから、ホスト亭主が女子大生を抱き寄せ、庇うように唇を重ねる。
女子大生は抱かれるがままに、その抱擁に身を任せる。
美しい風景画に張り付いたような抱擁の一時が静かに過ぎて行く。
その唇をホスト亭主がそっと離すと、女子大生が細やかな仕種でいやいやをし、ホスト亭主はもう一度、熱く女子大生をかき抱き、唇を重ねた。
水平線に見え始めた朝日が、抱擁し合う二人のシルエットを徐々に照らし出して行く。
今度は女子大生が唇を静かに離し、囁くように言った。
「このままずっといたい…」
ホスト亭主が目頭に熱い涙を溜め、それを手の甲で拭い言った。
「僕もです…」




