恋愛革命71
寝ている子供の頭を、ホスト亭主は優しく撫でた。
妻が寝た後、ホスト亭主は横を向き子供の寝顔を見詰めた。
子宝という言葉がある。
その言葉通り、子供は理屈抜きに可愛い。
だが風邪などを引くと、子供はぐったりとしてしまい元気をなくす。
親たる自分は当然最善の努力を払い看病する。
子供にとって一番大切なことは心身共に健康でいる事だ。
それを己が生きている限り、サポートしてやるのが、親の義務だと思う。
親の心、子知らすと言うが、それで良いのだとホスト亭主は思う。
掛け替えのない命。
金とは違い失えば、二度と戻らないのが命なのだ。
その命を守り抜く決意を新たに、ホスト亭主は子供の可愛い寝顔を見詰め微笑む。
転じて。
風邪を引いて独りで病と闘っているワンレンの女子大生を想う。
自分に出来る事はとホスト亭主は自問自答する。
飛んで行って看病してやりたいのは山々なのだが、それは出来ない。
虐められ鬱病を病んだ女子大生。
その孤独感と不安をおもんばかると、憐れさに胸が締め付けられる。
だが会いに行く事は出来ない。
慕情に任せて、会いに行けば、子供の笑顔を失ってしまうからだ。
悲しいだけの恋。
悲しいだけの恋愛しか出来ない女性に、自分が与えられる恋愛はと自問すれば。
悲しいだけの恋愛を与える事しか出来ないのだ。
そんな事をそぞろ想いながら、ホスト亭主は手を伸ばし、寝ている子供の頭を一度優しく撫でた。




