恋愛革命70
仕事と家庭に差し障りないように、お父さん頑張ってねと、妻は言った。
隣室で寝ている幼子を慈しむように見遣り妻が言う。
「歪み狂った差別偏見の構造意識は、益々世の中に深く浸透、蔓延し、世の中を狂わせて行くのは間違いない事実だと思うの。そんな狂った世の中をこの子は生きて行かなければならないのよ。それが私は不安でならないのよ…」
ホスト亭主が相槌を打つ。
「そうだな。絶対に何とかしなければならないな」
「そうよ。それには手始めに、貴方が頑張ってセミナーで反対勢力を抑え込み、教科書史実改訂を勝ち抜くしかないのよ」
ホスト亭主が一声笑い答えた。
「おい、ちょっと待ってくれよ。俺がセミナーで完全勝利を修めても、最終的には世論の動向が物を言うからな。多数決じゃないか?」
妻が反対意見を述べる。
「何を言っているのよ。教科書史実改訂問題は既に半分以上勝利を修めているじゃない。後は最終段階の詰めだけでしょう?」
ホスト亭主が手の平を前に差し出し、左右に振る。
「いや、それにしても俺の力なんか無力だから、予断は許さないのさ」
妻が強く主張する。
「この子の将来の為にも完全勝利あるのみじゃない?」
ホスト亭主が苦笑いしながら答えた。
「出来る限りの事は俺もするつもりだけどさ。まあそんなにプレッシャーかけるなよ。肩に力が入っちまうから」
妻が微笑み言った。
「そうね。仕事と家庭に差し障りないように、お父さん、頑張ってね」




