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恋愛革命54

売りという語句はけしておいらんを汚す差別用語では無いと、サラリーマンは怒鳴った。

サラリーマンが言う。





「法律を軽視して、哲学を中心にしたら直ぐに犯罪犯して逮捕されてしまうわ。ふざけた事抜かすなよ。水商売野郎?!」





挑発されても、ホスト亭主は乗らない。冷静に答える。





「ですからそれが二面性なのです。無意識に遵法の姿勢を慣習として取りながら、それを哲学の視座から客観的に見ている形を取るわけです」




サラリーマンが怒鳴る。





「だからそんなのは一般市民には出来ない技だろう。水商売野郎とは違って暇人では無いのだから。無意識は無意識でどうする事も出来ない領域なのだから。違うのか?!」




ホスト亭主が否定する。





「いえ、これはあくまでも個人的な事柄であり、第三者に強要している事ではありません」





サラリーマンが再度怒鳴る。





「そのいけ好かない鼻に掛かった態度が十分強要しているのさ。阿保かお前は?!」





ホスト亭主が繰り返す。





「強要はしていません。それだけです」




講師が仲裁に入る。





「まあいずれにしても、そういう立脚点を取らないと、おいらんは擁護出来ないという事ですね?」





ホスト亭主が頷いた。





「その通りです」





サラリーマンが講師を詰る。





「おい、水商売野郎の味方ばかりするなよ。一般市民はこちらじゃないか。常識で物を言えよ?!」





講師がいなす。





「申し訳ありませんでした。では再び論じ合って下さい。よろしくお願いします」




サラリーマンが面白くないという態度を顕にして言う。





「まあいずれにしても、現代人は売りという語句のニュアンスの中においらんを蔑む意味合いはいれていないわけさ。あくまでも売りという語句は現代人の売春婦をターゲットにした語句なのだから」





ホスト亭主が反論する。





「だから自分はその理論を踏まえた上で言っているのですが?」





「そんなの知るか。出来ない理屈は出来ない。それだけさ。馬鹿野郎!」





講師が再度仲裁に入る。





「その論戦は堂々巡りだから、中断して論じ合うニュアンスを変えて下さい。よろしくお願いします」




サラリーマンが逆らう。





「俺は絶対に譲らないからな。売りという差別用語は絶対においらんを汚すものではない。だから俺はそのスタンスを堅持して、売りという語句の教科書への記載は許さない。それだけさ!」





ホスト亭主が言った。





「自分も己の立脚点は固持します。それだけです」

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