恋愛革命49
不思議な発想ですねと、ワンレンの女子大生は言った。
女子大生が言う。
「失礼ですが、大変な仕事なのに何故辞めないのですか?」
ホスト亭主が答える。
「自分は所謂求道者なのですよ。どんな道にも奥行きがあり、馬鹿には出来ませんから。ホストの道もそれに倣い、究めてやろうと考えているのです。負けたくないし」
女子大生が頷き改めて質問する。
「奥さんは心配するでしょう?」
ホスト亭主が答える。
「それは当然ですね。だから自分は一つの夢幻的発想をしているのです」
「夢幻的発想?」
「仕事は夜見る夢であると考え、生活と分けて考えているのです。夜の夢は朝生活に目覚めると泡沫のように消えていて、お金だけをもたらすものだと」
女子大生が笑い言った。
「面白い発想ですね」
ホスト亭主も一声笑い言った。
「だから自分は女房に対して浮気はしていないのです。夢だから」
女子大生がもう一度笑い言った。
「随分自分にとって都合の良い発想ですね?」
ホスト亭主がにんまりとしてから答える。
「これも又夢だと思えば良いのですよ」
「意味が分かりません?」
ホスト亭主が瞼を伏せ、想いを馳せるように眼を見開いてから、言った。
「分からなくてもいいのです。それで僕はこの仕事を続けていられるわけですから」
女子大生がしげしげとホスト亭主を見詰め言った。
「不思議な話ですね?」
ホスト亭主が答えた。
「はい」




