恋愛革命40
売りという言葉にも二面性があるじゃないかと、サラリーマンが言った。
講師がホスト亭主を促す。
「ではあなたは、売りという語句を教科書に記載する場合、どんな文面を考えているのでしょうか?」
ホスト亭主が答える。
「そのものずばり、現代人は純愛概念の中に売りという語句を潜在化させて、おいらんの真正純愛を汚した。ですかね」
サラリーマンが反発する。
「そんなの駄目だ!」
講師が言う。
「何故駄目なのですか?」
サラリーマンが答える。
「売りという語句にも二面性があるじゃないか?」
講師が尋ねる。
「二面性と言うと?」
サラリーマンが息をつき答える。
「悪意の場合と善意の場合があるじゃないか?」
講師が尋ねる。
「善意とは?」
サラリーマンが答える。
「あだ名というか、愛称みたいに使われていて、それを言われても、本人が差別用語として受け取らない場合さ」
講師が腕を組み尋ねる。
「それは愛称になり得ますかね?」
サラリーマンが答える。
「余りいい例ではないが、つまり差別用語というのは、悪意と善意に別れて言う場合があると言う事さ」
ホスト亭主が断じる。
「でも売りという言葉を言われて、それに善意を感じる者は皆無でしょう。売りは売りですから」
サラリーマンが待ったを掛ける。
「ちょっと待ってくれ。改訂された教科書が暫く再改訂されず、未来の子供達が売りの意味を分からない場合が出て来る事を想定した方がいいじゃないか?!」
ホスト亭主が言う。
「それも、そのものずばり売りとは、売春概念の事であると、明確に説明すれば良いのですよ」
「学校の授業でか?」
ホスト亭主が答える。
「そうです。自分が考えるに、本来純愛概念とは売春概念に支えられた概念であり、その真正芸術的純愛概念を、現代人は売りと言う蔑視、差別用語で汚した過ちを冒していたと、付け加えれば問題は無いと思います」




