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恋愛革命38

何処に通り魔や殺人鬼がいるか分からない、言い知れぬ不安感が常に付き纏うのが現代社会ですよねと、講師は言った。

講師が言う。





「つまり、自分が売笑と言う売りをしているのに、売笑を無意識に蔑む構図ですね?」





ホスト亭主が頷いた。




「そうですね。だから自己啓発を徹底的に突き詰めて行くと、必ず差別偏見の構造意識にぶち当たって行くわけですよ。そこで全ての人間の形状や考え方が、全部異なる事を再認識すれば、差別偏見の構造意識は氷解して行くものだと自分は思うわけです」




サラリーマンが反発する。





「差別偏見の構造意識が氷解なんかしたら、世の中生きて行けないじゃないか。現実問題、世の中には通り魔を始めとして、殺人鬼や詐欺師がうようよと溢れているのだから、

そいつらに対するセーフティー装置として差別偏見の構造意識は必須項目ではないか。違うのか?!」





ホスト亭主が言う。





「自己啓発して、洞察力を高めれば、そういった危機回避は可能なのではありませんか。例えばこれは良く巷で言われる事ですが、身を処してデンジャラスゾーンには近寄らないとか。気をつける事は出来ますよね?」





サラリーマンが喚いた。





「そんなの無理だね。一般市民にはメディアを騒がすインチキ霊能者と違って未来を読んだり、方位を見たりは出来ないからな。人を見たら泥棒と見るしか出来ないじゃかいか!」




講師が頷いた。





「そうですね。どこにそういった殺人鬼が潜んでいるか分からない時代ですから。言い知れぬ不安感は常に付き纏っているのが現代と言い切れるわけですから」





サラリーマンが我が意を得たりと、したり顔をしてから続ける。




「差別偏見の構造意識と言うのは、確かに個人間に溝を作り、孤立を形成するが、逆にその孤立を孤高として認識し、喜ぶ奴もいるじゃないか。そういった人間は素晴らしい芸術を醸成したりもするわけで。孤立に常に不安感が付き纏うという論理は表層的なものだろう。違うか?」




講師が頷いた。





「ミクロ単位で見て行けば、そういった論理も確かに頷けますね」




サラリーマンが断言する。





「だから俺は売りという言葉の機能面を鑑みれば、それは絶対に必要な差別用語であると思うわけだ」





講師が尋ねる。





「もし売りという言葉を教科書に記載するならば、あなたはそういう内容の言葉を記載したいと考えているのですね?」





サラリーマンが頷いた。





「その通りさ」


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