恋愛革命32
水商売なんてやらずぼったくりで信用なんか出来ないと、サラリーマンが怒鳴った。
サラリーマンが言った。
「お前ら水商売の人間はあくどく商売をして、やらずぼったくりの為に、お客様は神様だとか抜かして、偽りの営業スマイルを浮かべて、客を騙すではないか。それは明らかに騙しのテクニック。騙しの売笑ではないか。だから蔑まれて当然だろう」
ホスト亭主が論駁する。
「そんな人ばかりではないですよ。それは明らかに狂った差別意識ですよね」
サラリーマンが畳み掛ける。
「違うね。盛り場には酒、博打、女、麻薬と、ありとあらゆる誘惑装置があり、皆そこで醜い金の争奪戦が繰り広げられているじゃないか。その騙し合いの中で、身ぐるみ剥がされないようにするには水商売の人間を先入観で見定め、警戒しつつ泳がなければならないわけだ。つまり騙される前にどぎつく騙し、得をするしかないわけだ。違うか?!」
ホスト亭主が反発する。
「それは一昔前の盛り場事情ですね。今は客も利口になりやらずぼったくりなんて通用しませんから、どこの店も整然と料金システムを整え、いい営業をしてリピーター狙いをしているわけです。一昔前の水商売に対する先入観をごり押しするのは、もう時代遅れであり、逆差別の応酬戦でしかないと思います。色眼鏡で見ないで下さい」
サラリーマンが首を振り言った。
「でも盛り場にはやはりやくざ色が色濃く、怪しくダーティーな感じがして信用なんか出来ないね。それは事実じゃないか!」
お下げの女子大生が反論する。
「でもお客さんも頭から水商売の人間を人間扱いしませんよね?」
サラリーマンが怒鳴る。
「そんなの当たり前だ。やさぐれたチンピラ娘なんか信用出来るか。馬鹿野郎!」
すかさず講師が手で制して仲裁に入る。
「まあまあ、逆差別の泥沼応酬戦をここで繰り広げても、生産性は無いわけです。どうですか、発言していない貴女の感想を聞かせて下さい?」
促されて、ワンレンの女子大生が発言した。
「水商売の人達はお客さんの先入観を払拭するべくもっと努力して、お客さんの方も、そんな水商売の人達の気苦労を汲んでやれば問題はないと私は思いますが」




