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恋愛革命30

ホスト亭主の悲しい恋の顛末を聞き、ワンレンの女子大生はそぞろ涙した。

ホステス亭主の失恋物語を聞いて、ワンレンの女子大生が泣いている。





それを宥めるようにホスト亭主が言葉を添える。





「江戸期のおいらんやだゆうも、僕と同じように失恋した人が大勢いると思うのですよね…」





女子大生がハンドバッグからハンカチを出して涙を拭い言った。





「そうでしょうか?」





ホスト亭主が頷いた。




「当時は封建制度のただ中で、身分の隔たりは絶対の垣根でしたからね。いくらおいらんが花形スターとは言え、やはり身請けされて輿入れするとなれば、相当の気苦労はあったのが推察出来ますね」





ワンレンの女子大生が尋ねる。





「でもそういう実例もあったのでしょう」





「そうですね。そんな文献も遺ってはいますが、そんなのは氷山の一角だと思いますよ。殆どの遊女達が涙を呑んで諦めたと思いますよ」





ワンレンの女子大生が気をとりなすように、もう一度涙を拭いしみじみと言った。





「悲しい話ですね」





ホスト亭主がおいらんの失恋物語を我が身に置き換え、それを慈しむ目付きをしてから言った。





「命を懸けて仕事に勤しむおいらんの悲恋に比べたら、自分の失恋などまだまだ甘ちょろいものですよ。きっと」




その言葉を聞き、ワンレンの女子大生が大粒の涙を惜し気もなく流してから、言った。





「でももうその女性達とは二度と会えないのでしょう?」





ホスト亭主が息を吸い、長く吐き出してから言った。





「でも死に別れも生き別れも、別離には変わりないじゃありませんか?」





女子大生が堪え切れずに嗚咽して、憚るように涙を拭い、謝罪した。





「ごめんなさい。何か私あなたに泣かされているような、そんな構図になってしまっていますね?」





ホスト亭主が力無く笑い、言った。





「いえ、いえ、そんな事はありませんよ。涙は離別の悲しみを消して行きますからね。明るい未来への懸け橋だし、思う存分泣いて下さい」

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