恋愛革命29
どうぞご勝手にして下さいと、お下げの女子大生は言った。
サラリーマンが執拗に食い下がる。
「あんたもおいらんを尊敬し、おいらんの純愛を勉強しているのならば、こんな風に客を粗末にするのはまずいのじゃないか?」
女子大生が反発する。
「逆です。おいらんだからこそ、お客さんに媚びないのです。おいらんはプライドを持っていましたから」
「しかし、あんたはおいらんではない。だからお客を大切にするのは筋じゃないか?」
「私は規定通りにヘルプの役割を果たしています。だからこそ、アフターには応じないのです」
「難しい理屈こねるなよ。あんたはとにかく俺を嫌いなのだろうが。違うのか?」
「私は店のシステムに従い、アフターを原則断り、その結果として人間の尊厳を守っているだけです」
顔を赤らめてサラリーマンが言う。
「あんたが自分をおいらんと言うならば、商売用の純愛を発信して、客を大切にしろよ。それが客商売の妙じゃないか?」
女子大生がけんもほろろに拒む。
「あなたは私の客ではありません!」
「おい、ここはセミナー会場ではないのだぞ。俺は客で、あんたはホステス。その差は歴然としているじゃないか。そうだろう?」
「そんなのは明らかに偏見です。何度も言いますが、私を一人の人間として扱って下さい!」
怒りを堪え、サラリーマンが卑しくやに下がる。
「勘弁してよ。こんな扱い受けたら、俺、クレーマーになっちゃうよ」
女子大生が言い切る。
「どうぞご勝手にして下さい」




