恋愛革命28
もし良かったら、あなたの苦しみに満ちた失恋話を聞かせて下さいと、ワンレンの女子大生が言った。
ワンレンの女子大生が言う。
「もし差し支えがなければ、あなたが体験して来たやむを得ない苦悩に満ちた失恋についてお話してくれませんか?」
ホスト亭主が初めてハイボールに口をつけて言った。
「苦悩に満ちているかどうかは分かりませんが、僕は何かどうしようもない女性に惚れてしまう癖がありまして…」
「…どうしようもないと言うと?」
ホスト亭主か瞼を伏せ言う。
「つまり愚かしく、救われない女性を好きになる癖があるのです」
「憐れみで好きになるのですか?」
ホスト亭主が頷いた。
「それはありますね。男に棄てられた女性とか、病んだ女性に惹かれてしまう癖があるのです」
「でも皆綺麗な子でしょう?」
「いえ、容姿端麗な人には自分は魅力を感じないのですよ。所謂ブスと言うか自分に劣等感を持っている女性に惹かれてしまうのです。まあ言葉では上手く言えないのですが、ブスで病んだ女性に、自分は異性の味わいと言うか、魅力を感じてしまうのです。これって陰りに惹かれているのですかね。自分でも分かりませんが」
女子大生がかしこまった仕種をして言う。
「それじゃ私にも資格はありますかね?」
ホスト亭主が手を挙げて制する動作をしてから言った。
「いえ、いえ、貴女は美人だし、しっかりとしているし、ちっとも病んでなんかいませんから」
「でも私は男の人に…」
ホスト亭主がすかさず言う。
「棄てられたのではなく、棄てたのですよね?」
女子大生が短く笑ってから言った。
「そうですね。私はいつも棄てる側にいないと、自分の自我を保てないのかもしれません。これも私の病気なのかもしれませんが」
ホスト亭主がもう一度手を挙げて制する動作をしてから言った。
「止めて下さい。自分はそういうのに弱いのですよ」
ワンレンの女子大生が手で口を押さえ笑った。




