恋愛革命162
江戸期の身分制度を度外視しておいらんや太夫が花形スターになった事ですか。それには文化面の際立つ、ダイナミックなエネルギーの横溢を感じましたね。だからこそ、そのエネルギーの集約であるおいらんや太夫の純愛が史実となった次第ですかねと、教授は言った。
主に差別史研究を旨とする研究室に通され、講師が教授に尋ねた。
「先生はやはり差別史が専門なのでしょうか?」
教授が微笑み答える。
「いや、違いますね。歴史全般です。と言うか、世界史よりは日本史にほんの少しばかり傾倒している程度ですかね」
講師が再度尋ねる。
「では差別史には殊更に興味が無いと言う事でしょうか?」
教授が答える。
「いや、史実の中の一つの出来事としては興味はありますね。それに対する偏った比重とかはかけない程度に興味はあります。と言うよりも、今回の史実改訂問題も、私がそういうスタンスだから、話を一任されたと思うのですよ」
講師が頷き言う。
「差別史に偏っていたら話は無かったという事ですか?」
教授が頷いた。
「そうですね。とにかく今回の改訂は江戸期の文化面での史実改訂となったのですが、私が面白いと思ったのは江戸期の身分制度を度外視しておいらんや太夫が花形スターになった事ですか。それは文化面の際立つ、ダイナミックなエネルギーの横溢を感じましたね。だからこそ、そのエネルギーの集約であるおいらんや太夫の純愛が史実となった次第ですかね」