恋愛革命155
教科書史実改訂はは的確、正確を期してすると、教授は言った。
講師が教授と会食をしている。
デザートとを食した後、講師が口を開いた。
「先生、どうでしょうか、塩梅の方は」
教授がフォークを置き、答えた。
「ずばりと言えば、史実改訂の項目は、江戸期に遊郭で人気を博したおいらんや太夫は、顧客に向けて、情感溢れる純愛を発信した。そうなりますね」
講師が尋ねる。
「おいらんが発信した純愛概念を、現代人は蒙昧な差別意識でおとしめたとは、なりませんか?」
教授が明解に答える。
「それはなりませんね。何故ならば教科書史実改訂項目はあくまでも史実改訂であり、現代史に立ち返っての差別用語に抵触するような項目記載は考えられないと言う事ですね」
講師が再度尋ねる。
「世論を騒がせている言論の自由を脅かさない配慮でしょうか?」
教授が答える。
「いや、そんな配慮もありませんね。言わばこの改訂は江戸期の文化の担い手であるおいらんの、芸術的な仕事振りを、的確に史実に加味し記載して、後世に伝えるものですから」
講師が確認を取る。
「先生がおっしゃっていた、第三の思想の発現はなかったと言う事ですか?」
教授が頷いた。
「ありませんね。と言うか、この史実改訂は、江戸期の文化面での改訂となり、その文化の芸術的な美しさを後世に的確に伝えるものだから、誰も異存は無いと思います。そしてもう一つ言わせて貰えば、この史実改訂がなされた後、現在進行している現代で、どのように捉らえるかの計算も排除しての記載となります」
講師が尋ねた。
「解釈は勝手にしてくれという判断の本に、大臣への答申をするという事ですか?」
教授が答えた。
「そうなりますね。私としては正確を期したい。それだけとなりますね」