恋愛革命154
女子大生がまさぐるようにホスト亭主の手を握り、その手をホスト亭主が優しく握り返した。
セミナー会場を後にして、ホスト亭主がワンレンの女子大生と話を交わす。
「とにかく、政党の中枢にいるような人物を手繰り寄せないと駄目ですね?」
ワンレンの女子大生が花が散った桜の木を見上げて頷いた。
「そうですね。でも…」
「でも、何ですか?」
女子大生が憂いを湛えた表情をして答える。
「でもこれで史実改訂が成ったら、私達はお別れするのですね…」
女子大生と同じように葉桜を見上げてから、俯きつつホスト亭主が答えた。
「そうですね。それで僕達の目的は達成成りますからね」
吹き来る風に瞼を伏せたままの表情をして、女子大生が言う。
「こんな事言ったら不謹慎かもしれませんが、私の中には別れの時を伸ばす為に、史実改訂が成って欲しくないという気持ちも半分はあるのです。すいません」
ホスト亭主が冷たい風をはらむように深呼吸してから、おもむろに言った。
「僕も気持ちは同じですよ。でも運命は変えられませんから…」
女子大生がまさぐるようにホスト亭主の手を握り、その手をホスト亭主が優しく握り返した。
女子大生が言う。
「こうして手をずっと握っていたいけれど、人は運命には逆らえないのですよね…」
ホスト亭主が涙ぐむが、それを堪えて、吹っ切るように言った。
「そうですよね。人は運命には逆らえませんから…」