恋愛革命144
ルール無き言論の自由への甘えは、正当な言論の自由ではないと、ホスト亭主は言った。
反対派が述べ立てる。
「生の論争は出来レースのテレビ討論会とは違い、演出ではない、本物の怒りが生まれるわけだ。その言い合いとも言えるスパークを一々差別用語扱いされ、弾圧されたら堪ったものではないという事だ」
ホスト亭主が反論する。
「だからといって明らかに相手を蔑み、差別用語で難癖をつけて罵り、傷付けるのは、言論の自由にもとる行いであり、正当な論争ではないと思いますが?」
反対派が勢いづく。
「相手も応酬して差別用語で罵り合い、喧嘩となって、仲裁が入り、喧嘩になった分、分かり合える場合だってあるではないか。その言わばコミュニケーションを一々差別用語として糾し、弾圧するのは正に民主主義にもとる行いだと思うが、どうだ?」
ワンレンの女子大生が言う。
「それは明らかに詭弁だと思います」
別の反対派が否定する。
「詭弁ではないと思います。特に男同士の喧嘩や争いにはそういう力学も生じるではありませんか?」
反対派がその意見に加担する。
「そうだ、そうだ。喧嘩両成敗。それで仲良くなった者には、罵り言葉もお咎め無しではないか?」
ホスト亭主が言う。
「分かり合えないで、殺し合いになる事も多々あるではありませんか。そんなのは言論の自由という言葉への甘えでしかないと思います」