恋愛革命143
人を傷付ける権利など、当然の権利では無いと思いますと、ホスト亭主は言った。
ホスト亭主が言う。
「日本は、様々な問題を孕みつつも、民主主義が少しづつ育まれて来ている国家だと思います。それが証拠に眼に余る言論弾圧もなく、法律さえ遵守すれば、皆自由を謳歌しているのも又事実であり、しかしその権利に甘え、差別意識さえも言論の自由と錯覚し、その痛みを理解することなく、一方的に人を蔑み傷付けているのも又事実だと思います」
反対派が挑発する。
「当然の権利を主張する事の何処が悪いんだ、おい!」
ホスト亭主が答える。
「人を傷付ける権利など、当然の権利では無いと思います。それこそ権利という言葉の間違った過大評価であり、過信に過ぎないと、自分は思います」
反対派は引かない。
「しかし論争の時に相手を糾弾する言葉は畢竟激しくなって当然ではないか。それを差別意識と捉らえるのが弾圧の始まりではないか?」
ホスト亭主が言う。
「しかし、論争の時でも相手を思いやる冷静な意識は常に必要であり、対立概念だけを罵り言葉にするのは、論争の理に叶っていないと思いますが」
「そんなのはへ理屈だ。罵る言葉に自由度が無ければ、論争にならないではないか?」
ホスト亭主が続ける。
「あくなき対立概念に、違う角度の思いやりが入れば、差別意識は解消して行くと自分は思います」