恋愛革命128
ロボットの方が飼い馴らされた人間より増しだと言うのかと、サラリーマンは憤った。
ホスト亭主が言う。
「人の流した生き血で出来た差別偏見の構造システムは堅牢であり、そこを貪欲塗れの金が縦横無尽に流れているのですよね。その堅牢なシステムは集団虐めや虐待、殺人によって人が死んでも、流れている生き血の金が、それを音もなく保管するだけで、偽りの涙を流す者共が又ぞろ人を蔑み、冷酷に殺して行くのです。それは砂上の楼閣なのに、矛盾して至って堅牢であり、過ぎ行く時間の心を薄汚く汚し固めているのですよね」
ワンレンの女子大生が悲痛な声を上げる。
「犠牲になって死んで行った人達は言わばいけにえ、人柱なのですね?」
ホスト亭主が恭しく頷き、言った。
「ヨーロッパの劇作家の言葉ですが、いつも死は他人の死なのですよ…」
お下げの女子大生が言う。
「でも今の差別偏見の構造意識に裏打ちされた、一触即発の時代では、いつ何処で誰が犠牲になってもおかしくはありませんよね?」
ホスト亭主が頷いた。
「その通りですね。目先の娯楽で胡麻かす範囲を超えていますよね」
サラリーマンが喚く。
「ふざけるなよ。それじゃ、差別偏見の構造意識は社会を回す善なる潤滑油、人口調整装置なのか?」
講師が頷いた。
「そういう面もありますよね」
サラリーマンが憤る。
「そんなの俺は許せねえ。俺達はロボットじゃねえんだ。馬鹿野郎!」
講師が微笑み言った。
「ロボットは生身ではありませんから、死んだりはしませんよね?」
サラリーマンが再び憤る。
「ロボットの方が飼い馴らされた人間より増しだと言うのか!」
講師が頷き無機質に言った。
「そうですね」