恋愛革命126
そんなのは明らかに許せない。大衆を馬鹿にするのも甚だしい行為だと、サラリーマンは言った。
教授との繋がりを胸に秘めたまま、講師が言う。
「管理社会の中での言葉の役割について討論をして下さい。どうぞ」
サラリーマンが言う。
「それはニュアンスが伝わって来ないぞ。もう少し具体的に言ってはくれまいか?」
講師が答える。
「所謂管理社会の中での言葉には自由の意味合いが含まれているかどうかについて、語ってくれませんか。つまり売りという言葉の自由度というか、その度合いのニュアンスですね」
サラリーマンが目くじらを立てる。
「管理されている言葉には自由度は無いだろう。自由度なんか在ったら、伝達機能がなくなってしまうからな」
講師が言う。
「だからこそ、売りいう言葉は差別用語として機能しているのですね?」
サラリーマンが頷き言う。
「まあ、売りという語句には俗語としてある分、一般の言葉に比べれば自由度はあるよな。しかしそれを知っていて、単に差別用語で括り、蔑んでいるお上も、俺は許せないぞ。だからこそ、その売りという言葉がおいらんの純愛概念を馬鹿にし、侮辱した経緯があるわけだしな」
講師が頷き言った。
「つまりお上は大衆操作術の一貫として、売りという言葉を俗語として放置したから、おいらんの純愛概念さへも侮辱した結果を招いたのならば、その管理体制は杜撰だと言う事ですね?」
サラリーマンが言う。
「その通りだな。日本語の乱れが謳われて久しいが、言葉の乱れは下手をすると国力の低下にも繋がるわけだ。それをもしお上が杜撰にも放置しているのならば、お上の管理術にも明らかに不備があり、それは国民を愚弄し、馬鹿にしている事だと俺は思う」
講師が言う。
「つまりお上が恣意的に差別偏見の構造意識を放置している事は許せないという事ですね?」
サラリーマンが大きく頷いた。
「そんなのは断じて許せない。大衆を馬鹿にしているではないか。ふざけるなと言いたいわけだ!」