122/165
恋愛革命122
クレーム社会の中で、予測不能のクレーム処理が、かったるいのですよと、教授は言った。
教授が続ける。
「クレーム社会だから、一語でも動かすだけで、どんな個人、団体が、どのようにクレームを言って来るのか予測が全くつかないのですよ。御覧の通りネットは常に炎上状態だし。その意外性がかったるいですね」
講師が補足する。
「ぎしぎしに張り巡らされた電波神経叢に、少しでも触れただけで感電するみたいなものですかね?」
教授が答える。
「いや、触れる前でこれだから、触れたら感電どころではなく、ショック死ものでしょう。それも予測不能なところからのアプローチでね」
講師が改めて尋ねる。
「でも史実改訂は織り込み済みで、後は語句の選定を待つだけの運びですよね?」
教授が否定する。
「いや、最後の詰めで大臣に答申する時、白紙撤回も当然出来ますね」
講師が軽く眉をひそめる。
「それは先生に一任されているわけですか?」
教授が頷いた。
「そうですね。私としては世論の動向をしっかりと見極めて、白紙撤回をも念頭に置き、大臣に答申するつもりでいますが」