恋愛革命113
他の顧客の妬みによるネット中傷だと、ホスト亭主は思った。
ホスト亭主の目測は外れた。
矢継ぎ早のネット中傷は、己の客による公算が大きい。
妬みだ。
だが、接客において極端に入れあげ、ワンレンの女子大生に偏った覚えは無いとホスト亭主は思った。
過去、客に恋心を抱き、他の客を疎かにした経緯はあった。
それを教訓となし、自分のメンタルをバランスよくコントロールして来たのだ。
今回もそうだ。
神経を使い細やかさを以って、他の顧客を大切にして来た筈なのに、やはり接客術にも完璧はなく、綻びが出た。
恋心を抱いた分、接客が虚ろになり、疎かにになったのを自覚出来なかったのだ。
ホスト亭主は反省する。
より一層プロ根性を持ち、己の恋心を制御するしかない。
だがとホスト亭主は思う。
恋心というものは制御が効かないのだ。
胸のときめきをコントロールする事など無理だとホスト亭主は思う。
だがそれをしなければ、懸命に頑張って来た自分の努力が水の泡になってしまう。
一つの恋の為に他の顧客を失うわけにはいかないのだ。
それならばどうするかを、ホスト亭主は自問自答する。
答えは簡単だ。
ワンレンの女子大生を棄てれば良い。
しかしそれは辛いという心の声も当然あり、ホスト亭主は瞼を伏せため息をついた。