109/165
恋愛革命109
これが僕らのお花見ですねと、ホスト亭主は言った。
早朝。
丘の上。
菜の花が一面に咲き乱れている。
菜の花畑を渡り来る風は海から吹いて来る。
朝の陽射しが、咲き乱れる菜の花の色を鮮やかに浮き上がらせている。
ワンレンの女子大生が匂いを手繰り寄せるように深呼吸してから言った。
「綺麗」
ホスト亭主が頷いた。
「そうですね」
女子大生がホスト亭主の顔を覗き込むような顔をして尋ねた。
「どうしたのですか。眠いのですか?」
ホスト亭主が答える。
「いや、足がむくんで歩きづらいのです。はい」
女子大生が笑った。
それにつられてホスト亭主も笑い言った。
「歩きづらいけど、本当に綺麗ですね?」
女子大生がもう一度笑い言った。
「本当に綺麗ですね。雲一つ無いし、海は碧いし」
ほろ酔い気分ではしゃぐワンレンの女子大生をおもむろに抱き寄せ、唇を重ねてから、ゆっくりと離し、ホスト亭主が言った。
「桜じゃないけど、これが僕らのお花見ですね…」