恋愛革命105
それとも何か、あんた方はおいらんではなく、エリートを脅かす偏差値の方を変革したいのかと、サラリーマンは言った。
サラリーマンが言った。
「ならば偏差値英才エリート教育を止めずに、並行して情操教育を強化すればいいだけの話じゃないか。偏差値教育の方で差別偏見の構造意識に触れそう不備な点をピックアップして、正せばいいだけの話ではないか。違うか?」
講師が頷いた。
「それも手ですよね」
サラリーマンが続ける。
「とにかく保守の利権に触れず、エリート中心主義に刃向かう真似さえしなければ問題は無いだろう。俺はそう思うが?」
お下げの女子大生が疑問符を投げ掛ける。
「信用出来ません。今度は何の罠を嵌めようとしているのですか?」
サラリーマンが言う。
「罠なんか無いさ。保守の気持ちはそういうものさ。自分の利害に触れなければ、無関心なのさ」
お下げの女子大生が尋ねる。
「でも差別化が叩かれ差別偏見の構造意識が消失したら、保守は駄目だと思っているから、反対しているのですよね?」
サラリーマンが答える。
「それは無いよ。おいらんの純愛概念尊重を教科書に史実改訂記載したって、保守の利権には抵触しないじゃないか。反対の理由はそれによって偏差値偏重英才教育が変革されることなのさ。それはエリートにしてみれば自分の足元を掬われかねないわけじゃないか。それとも何か、あんた方はおいらんではなく、エリートを脅かす偏差値の方を変革したいのか?」