恋愛革命103
いや、ここはポイントだから譲れません。差別意識を醸成しないように、優しい情操教育は記号膠着型の教育を排してでも、初等教育で行うべきだと自分は思いますと、ホスト亭主は言った。
サラリーマンが攻めに転じる。
「それじゃ尋ねるが、偏差値英才教育の代わりに、どんな教育概念を補填するか言ってみろ?」
ホスト亭主が答える。
「最前も申し上げたように、ホームレスを人間と見做す情操教育だと思いますが。それはそのまま差別偏見の構造意識是正にも繋がって行きますから」
サラリーマンがもう一度尋ねる。
「ちょっと待ってくれ。初等教育の対象は児童だぞ。児童には記号膠着型だろうが、何だろうが、その基本的な知識を教え込む必要性はあるよな。それを変えたら、後々の応用編にならないじゃないか?」
ホスト亭主が答える。
「例えば初等教育の時に授業でホームレスの学習をした時、ただホームレスを字義の通り、家を失った人と教え込むのではなく、やむを得ない事情があり家を失った可哀相な人と教え込めば、優しさを喚起する情操教育にはなり得ますよね?」
サラリーマンが反論する。
「そんなのは高等教育になってからの応用編だろう?」
ホスト亭主が言い切る。
「いえ、頭の柔らかい初等教育だからこそ、効果は絶大だと思います。優しさを教え込めば、我が儘やエゴイズムの是正教育にも繋がり、差別意識はそれで解消されて行く筈ですから」
サラリーマンが冷笑してから言った。
「そんなのは絵本とか漫画、サブカルチャーで行えばいいのさ。学校教育はあくまでもベースじゃないか?」
ホスト亭主が言い切る。
「いや、ここはポイントだから譲れません。差別意識を醸成しないように、優しい情操教育は記号膠着型の教育を排してでも、初等教育で行うべきだと自分は思います」