第三章 お隣さん 前編
第三章 お隣さん 前編
その帰り道、途中で石原たちと別れた後僕と久保田はマンションへと向かった。カラスが電線の上で延々と鳴き続ける中、久保田は道端の石ころを蹴りながら鼻歌を歌っていた。
「なぁ、久保田ってなんで転校してきたんだよ」
「え?なんでそんなこと聞くの?」
「いや・・・久保田みたいな女子がなんで都会に引っ越してきたのかなぁ~と思って・・・」
「知りたいの?」
その声は冷たく鋭くまるで別人がしゃっベているようだった。
「いや、やっぱりいいよなんか事情ありそうだし」
「いいのよ、親もいないし」
「えっ、親いないの?」
「うん、小3の時に交通事故で親が死んでから親族からの援助金で生活してるの」
「一人で住んでるの?」
「ううん、おばあちゃんと暮らしてるの。保護施設だと居心地悪くて、それに大抵のことは自分でできるから」
「寂しくないのか?」
「うん私、前もこんな感じだったから・・・」
「え?・・・」
「あっ、いや何でもない・・・」
そして僕らはマンションの四階にエレベーターで上って行った。階につくと僕らはそれぞれの部屋に入って行った。
「じゃあまたね北川君」
「ああ、また明日な」
第三章 お隣さん 前編 【終】