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第一章 前編
第一章 おぼろ月 前編
「な、なんだここは・・・海?」
ここは夢の中なのだろうか、ひどく穏やかな気分だ。空の満月が寂しく照りつける中、俺は砂浜に立っていた。夕日が水平線に沈んでいく中、誰かの泣き声が聞こえてきた。
「誰か居るのか!」
返事はなく泣き声だけが延々と響き渡ってくる。制服のスラックスが濡れていて肌が少し痒い。そして頭の上になにかがポツリ・・・ポツリ・・・と当たってきた。雨だろうか、ふと頭の上に手を当てるとなぜか嫌な感触がした、その手をゆっくり・・・ゆっくり・・・降ろすと手は真っ赤に染まっていた。
「ぎゃあああああああああああ!!!!」
その瞬間、僕は夢から目覚めた。体が鉛のように重く汗が体中から滲み出ていた。目覚まし時計が虚しく鳴っている。窓から入ってくる光が目障りで仕方ない。僕はベットから静かに降りて二階のリビングへと向かった。リビングには誰もいなかっためコタツの上にあるリモコンを手に取りテレビの電源を入れた。
テレビ画面の左上には【5:17】と表示されていた。
後編へ続く