表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

 朝から良いおじさん達に出会えたなぁとホクホクしながら出社すると、今度はオフィスに知らないおじさんが立っていた。

 見たところ警備員でも工事の人でも無い。当然、社の人間でもない。ちょっと部屋着っぽい格好をしたおじさんだ。


 おじさんはニコニコしながら「社の収益が昨対比で大幅に悪化していますよ」と言った。

 ボーナスどころか不渡りだのと物騒なことを言い出したあたりで、本物の警備員たちに引っ張られて行った。


 おれはそのまま辞表を書き、部長の机に置いてから同じことをしている部下を数人誘って飲みに出た。

 会社の悪口や今後の話で盛り上がっていると、通りかかったおじさんがそっと「ご注意の品だけだと脂質過多ですよ」と教えてくれた。

 そうかも知れない。

 おれは海藻サラダなどを注文してバランスを心がけた。


 良い感じに酔ったので、皆と別れて少し歩く事にした。

 バイクは明日にでも取りに来よう。

 熱った身体に夜風が心地よいが、汗を流したい。どこかにサウナは無いものかと見回していたら、後ろから声をかけられた。

「次長、ご一緒してもいいですか」

 振り向くと、今となっては元同僚であり部下であった女の子が立っていた。

「あぁ、少し歩いて帰ろうか」


 並んで繁華街を歩く。

 むかしは外回りで歩いていたが、最近はどうにも運動不足だ。散歩くらいのつもりで歩いて、少し息が上がっている。

「次長、ちょっと休憩しましょ」

 いつの間にか腕を組んでいた元同僚であり部下だった女の子がするりと離れ、コンビニに向かって行った。


 気がつけばホテル街だ。


 休憩の意味に動揺しながら立ち尽くしていると、ホテルから出てきたおじさんがおれの肩を叩いた。

「女の子の指、見ましたか?」

 親切にも教えてくれているようだ。

「あぁ、既婚だよ」

「一回200万ですね」

「そうだな」

 慰謝料の相場はそんなもんだろう。


 おじさんはおれに手を振り去っていった。

 入れ代わりコンビニからでてきた女の子と腕を組み、おれはホテルに向かった。

 彼女が指輪を外す仕草は手慣れているように見えた。


 おれは、おじさんになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ