第四章:不完全な色彩(11)
描き進めるほどに、和真は自らの内面にある「傷」とも向き合わざるを得なかった。
キャンバスに筆を叩きつけるたび、かつて失ったキャリアや、壊れた心が疼く。
けれど、その痛みこそが、今の自分を形作っている色彩なのだと彼は気づき始めていた。
「私、和真くんの描く『青』が好き。……冷たいのに、どこか温かいから」
結衣は、和真が描き上げた背景のグラデーションを見つめ、静かに呟いた。
「それは、君が僕の隣にいてくれるからだと思う」
和真は、パレットに残った絵具を見つめながら、素直な心情を口にした。
「一人の時は、もっと濁った、底の見えない色ばかり描いていた気がするんだ」
「私の方こそ。……和真くんが色を塗ってくれないと、自分が透明になりそう」
結衣は、そっと自分の胸に手を当て、鼓動を確かめるように息を吐いた。
「和真くん。……この絵が完成したら、私たちはどこへ向かうの?」
「どこへだろうな。……でも、きっと今までとは違う景色が見えるはずだ」
「……そうね。……今度は逃げずに、ちゃんと自分の足で歩いていきたい」
和真は、彼女の言葉を噛みしめるように、キャンバスの中央に真っ白な光を置いた。
それは、二人がこれから見つけるはずの、不完全ながらも確かな希望の輝きだった。
この作品はAI40%、筆者60%で書きました。
原案100%筆者。
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