第四章:不完全な色彩(9)
翌週、あのジャズ喫茶の看板が、思わぬ反響を呼ぶことになった。
「あの看板を描いたのは誰だ?」
店を訪れた美大の教授が、その看板に目を留め、社長に尋ねたのだという。
その話は瞬く間に広がり、和真のもとへ、ある小さな画廊から連絡が入った。
それは、新鋭アーティストを集めたグループ展への招待だった。
「佐藤、お前はもう、看板屋の枠に収まる人間じゃないのかもしれんな」
社長は少し寂しげに笑いながら、和真の背中を力強く叩いた。
和真は、手元に届いた招待状を見つめながら、込み上げる感情を抑えられなかった。
かつてすべてを失い、泥沼に堕ちていった自分が、
再び「表現」という光の当たる場所へ呼ばれている。
「……結衣。……僕、もう一度、挑戦してみようと思う」
夕食の後、和真は招待状を結衣の前に置いた。
「挑戦って、……あの絵を、発表するの?」
「そう。……僕たちが壊れて、また繋ぎ合わさった、この日々のすべてを」
結衣は一瞬、不安そうに視線を泳がせた。
自分たちの醜い傷跡を、他人に晒すことへの恐怖があったのだろう。
けれど、和真の真っ直ぐな瞳を見て、彼女は深く、深く頷いた。
「……いいよ。……あなたの描く世界なら、私、どこまでも信じられるから」
この作品はAI40%、筆者60%で書きました。
原案100%筆者。
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