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第四章:不完全な色彩(7)


 その日の空は、まるで吸い込まれるような深い群青を湛え、どこまでも澄み渡っていた。

 和真は、駅前の古い商店街にある、寂れたジャズ喫茶の看板の前に立っていた。

 使い古された刷毛に、琥珀色のペンキをたっぷりと含ませる。

 社長からは「ただの塗り直しだ」と言われていたが、和真にはどうしてもできなかった。

 目を閉じれば、その店の中から漏れ聞こえる、古びたレコードの掠れた音が聞こえる。

 和真は、無意識のうちに筆を走らせていた。

 ただの看板ではない。そこに、この店が歩んできた「時間」を刻みたかった。


「佐藤、お前……それは何をしてるんだ?」


 背後から、様子を見に来た社長の驚いたような声が聞こえた。

 和真はハッとして手を止めたが、その視線は看板から離れなかった。

 そこには、店名だけでなく、音符が夜の街に溶け込んでいくような、

 幻想的で、どこか寂しげなグラデーションが広がっていた。


「……すみません。気づいたら、こうなっていました」


「……いや。いい。……これは、ただの看板じゃない。……ひとつの、絵だ」


 不器用な職人肌の社長が、初めて和真の仕事を認めた瞬間だった。

 和真の胸の奥で、かつて広告業界で押し潰された自尊心が、

 小さな、けれど熱い火種となって再び燃え上がるのを彼は感じていた。


この作品はAI40%、筆者60%で書きました。

原案100%筆者。

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