第三章:標の残像(13)
夕食は、和真が慣れない手つきで作った、ごく平凡な肉じゃがだった。
テーブルの上には、以前のようなコンビニ弁当の容器はなく、不揃いの皿が並んでいる。
「……美味しい。和真くん、料理なんてできたのね」
結衣は、一口ずつ慈しむように食べ進め、小さく微笑んだ。
「レシピを見ながら作ったんだ。……少し、味が濃すぎたかな」
「いいえ。……私には、このくらいはっきりした味の方が、生きてるって感じがする」
結衣は箸を置き、ふと自分の手に視線を落とした。
「病院では、決められた時間に、決められたものを食べるだけだったから」
「これからは、何時に何を食べてもいいんだよ。……僕が、何だって作るから」
和真の言葉に、結衣はふたたび涙ぐみ、慌てて視線を逸らした。
「ずるいよ、和真くん。……そんなこと言われたら、私、甘えちゃうじゃない」
「甘えていいんだよ。……そのために、僕はこの部屋を借りたんだ」
和真は、テーブル越しに結衣の手をそっと握った。
「ねえ、和真くん。……後で、私の今の姿、描いてくれる?」
「ああ。喜んで。……今の君は、金木犀の光を浴びて、とても綺麗だ」
結衣は、短くなった髪を耳にかけ、少しだけ誇らしげに微笑んでみせた。
この作品はAI40%、筆者60%で書きました。
原案100%筆者。
指摘や感想とか頂ければ励みになります。




