第三章:標の残像(9)
施設を辞去した和真の足取りは、数ヶ月前とは打って変わって力強かった。
夜の冷気が肺を刺すが、その痛みさえも、彼にとっては生きている実感だった。
彼はまず、以前住んでいたアパートを解約し、新たな拠点を求めて不動産屋を回った。
選んだのは、陽当たりの良い、けれど古くて小さなアパートだった。
「ここなら、彼女もゆっくりと呼吸ができるはずだ」
和真は、何もないがらんとした部屋の真ん中に立ち、独り言を漏らした。
窓を開ければ、隣の家の庭にある金木犀の香りが、部屋の中を通り抜けた。
次に彼が向かったのは、華やかな広告業界ではなく、小さな看板制作会社だった。
「佐藤君、君の作品には、何だか不思議な熱量があるな」
面接官である年配の社長が、和真のスケッチブックをめくりながら言った。
「……大切な人を、もう一度この手で守りたいんです」
和真は、まっすぐに社長の瞳を見つめて答えた。
「そのためなら、どんな泥臭い仕事でも、僕は全力でやります」
「……いい目だ。技術は後からついてくる。明日から来なさい」
社長のぶっきらぼうな言葉に、和真は深く頭を下げた。
この作品はAI40%、筆者60%で書きました。
原案100%筆者。
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