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第三章:標の残像(6)


 結衣の瞳に溜まっていた涙が溢れ出し、大粒の雫となって頬を濡らした。


 彼女は和真の差し出した手を見つめ、迷うように自分の手を動かす。


 その指先には、生々しい土の匂いと、植物の生命力が混じっていた。


 和真は構わず、その泥だらけの手を、自らの両手で優しく包み込んだ。


「……和真くん。私、もう一度だけ、生きていいのかな」


 結衣の声は、風に消え入りそうなほど微かだった。


「ああ。今度は、誰のためでもなく、君自身の呼吸のために」


「私……和真くんがいないと、やっぱり色が分からないの」


「僕が、君が君でいるための色を、何度だって描き続けるよ」


 結衣は和真の胸に顔を埋め、声を上げて泣きじゃくった。


 その衝撃で、彼女の短い髪が和真の顎に触れ、ちくちくと痛んだ。


 その痛みこそが、彼女が今ここに存在しているという何よりの証拠だった。


「ごめんね。ごめんなさい、和真くん……」


「謝らなくていい。……全部、これから二人で塗り替えていけばいいんだ」


 施設の庭に咲く、名もなき小さな花々が、冷たくなり始めた風に揺れている。


 和真は、彼女の短い髪を、壊れ物を扱うように愛おしそうに撫でた。


「行こう、結衣。ここから、僕たちの本当の物語を始めよう」


 夕闇が迫る中、二人は並んで歩き出した。


 その足取りはまだ覚束なく、未来には不安という名の影が長く伸びている。


 けれど、彼らの瞳には、かつての偽りのフルカラーよりもずっと鮮やかな、


 真実という名の色彩が、静かに、けれど力強く宿り始めていた。


この作品はAI40%、筆者60%で書きました。

原案100%筆者。

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