第三章:標の残像(2)
ある日、和真は療法室の隅に置かれた、一冊の古い広報誌に目を止めた。
看護師たちが休憩時間に読んでいるような、地域のリハビリ広報誌だ。
何気なくページをめくっていた和真の指が、ある箇所で凍りついた。
それは、隣接する県の施設で行われた「園芸療法」の特集記事だった。
そこに掲載された小さな写真の隅に、後ろ姿の女性が写り込んでいた。
ベリーショートというより、まだ伸びかけで不揃いな、短い髪の女性。
彼女は、萎れかけた花にじょうろで水をやっていた。
和真の心臓が、耳障りな音を立てて跳ね上がった。
顔は見えない。服装も貸与された無機質なパジャマ姿だ。
けれど、その少しだけ右側に傾いた首の角度。
じょうろを持つ指先の、繊細で、どこか臆病な動き。
それは、和真が何千回、何万回と目に焼き付けてきた、結衣そのものだ。
「……見つけた」
喉の奥から、乾いた声が漏れた。
それは偶然がもたらした奇跡か、あるいは執念が引き寄せた必然か。
和真は、震える手でその写真を何度もなぞった。
彼女は生きている。あの暗いアパートの床ではなく、光の下で。
この作品はAI40%、筆者60%で書きました。
原案100%筆者。
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