第二章:フルカラーの停滞(26)
一方、結衣もまた、別の街にある精神科病棟の閉鎖室にいた。
無惨に刈り取られた髪は、さらに短く切り揃えられ、
かつての「鈴木看護師」としての面影は、微塵も残っていない。
彼女は一日中、窓のない部屋の隅で膝を抱えて座り込んでいた。
看護師として幾度となく見てきた、あの「患者」たちの姿そのものに、
今の彼女は成り果てていた。
「……和真くん。……ごめんね、和真くん」
彼女の唇から零れるのは、届くはずのない謝罪と、絶え間ない嗚咽だけだった。
彼女は、自分が和真を救っていたのではなく、
彼を自分という「檻」に閉じ込めていただけだったことに、ようやく気づいた。
悠真の死、職場の孤立、そして髪を失ったあの日。
彼女が自ら切り捨てたのは、髪ではなく、人間としての「希望」だった。
食事も喉を通らず、ただ静脈に流し込まれる点滴だけが、
彼女をこの残酷な現実に繋ぎ止めていた。
看護師たちがドアの小窓から覗き、冷淡に記録をつけていく。
「元看護師の自殺念慮患者」。それが、今の彼女に与えられた新しい名前だった。
この作品はAI40%、筆者60%で書きました。
原案100%筆者。
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