第二章:フルカラーの停滞(24)
師長がめくったページには、自傷の果ての結衣が無残に描かれていた。
「……救いようがないわね。共依存の末路よ。
鈴木さん、あなたは患者を救うどころか、一緒に地獄に堕ちたのね」
その言葉は、結衣の心に残っていた最後の「自尊心」を粉々に砕いた。
結衣は虚ろな瞳で師長を見上げ、それから力なく笑った。
彼女の中から、「鈴木看護師」という記号が完全に死んだ瞬間だった。
「和真くん……。私、やっぱり、どこにも行けない……」
結衣は職員たちに抱えられ、泣き叫ぶこともなく連れ出されていく。
和真もまた、別の大人たちに押さえつけられ、床に組み伏せられた。
頬に触れるフローリングの冷たさと、埃の匂い。
視線の先には、千切れて床に落ちた、結衣の黒髪が一房だけ残されていた。
二人の密室は、こうして無慈悲に解体された。
春に交わしたあの「桜の約束」は、
真夏の強い光の下で、あまりに無残な死体となって曝け出された。
和真は遠ざかっていく結衣の気配を追いかけようとしたが、
差し伸べた手は、ただ空を切って、自分の描いた絵を汚すだけだった。
この作品はAI40%、筆者60%で書きました。
原案100%筆者。
指摘や感想とか頂ければ励みになります。




