第二章:フルカラーの停滞(22)
その日は、朝から執拗なチャイムの音が鳴り響いていた。
和真と結衣は、薄暗い部屋の真ん中で、互いに身を寄せ合って固まった。
和真の足元には、描き殴られたスケッチブックが散乱している。
短くなった結衣の髪、虚ろな瞳、絶望を象った色彩の数々。
それらは二人の「真実」であり、外の世界に晒してはならない聖域だった。
「鈴木さん! 鈴木結衣さん、中にいるんでしょ!」
ドア越しに聞こえてきたのは、心療内科時代の同僚、あるいは師長の声か。
連絡を絶ち、無断欠勤を続ける結衣を案じた病院側が、ついに動いたのだ。
「開けなさい! 警察を呼びますよ! 大家さんに鍵は開けてもらいました!」
無機質な金属音が響き、ドアノブが激しく回される。
和真は結衣の肩を抱き寄せた。彼女の身体は、氷のように冷たく、
壊れた操り人形のように小刻みに震えている。
救いも、愛も、狂気も、この密室の中だけで完結していたはずだった。
けれど、社会という巨大な怪物が、二人の安息を食い破ろうとしている。
和真は床に散らばった絵を必死にかき集めた。
これは見られてはいけない。自分たちの醜さと、それゆえの純粋さを。
この作品はAI40%、筆者60%で書きました。
原案100%筆者。
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