第二章:フルカラーの停滞(19)
その日を境に、二人の部屋から「時間」という概念が消失した。
結衣はあの日以来、一度も病院へは戻らなかった。
退職届さえ出さず、ただ電話線を抜き、カーテンを閉め切って、
薄暗い部屋の隅で、短くなった自分の頭を抱えて座り込んでいる。
和真もまた、無理に復帰した会社を数日で無断欠勤し、そのまま解雇された。
かつてのブラック企業で味わった恐怖が、結衣の変わり果てた姿に
呼び起こされ、もう一歩も外へ出ることができなくなったのだ。
部屋には、コンビニの空き容器と、いつから放置されているのか分からない
洗濯物の山が、積み木のように高く積み上がっていく。
生活の匂いは消え、代わりに淀んだ空気と、絶望の湿り気が充満した。
かつて結衣が丹念に掃除し、花を飾っていたテーブルの上には、
今は正体不明の染みが広がり、二人の停滞を嘲笑うかのように放置されている。
二人は、お互いの存在を確認するためだけに、狭いベッドで肌を重ねた。
それは愛ではなく、自分がまだ「生きている」ことを証明するための、
必死で、空虚な確認作業に過ぎなかった。
この作品はAI40%、筆者60%で書きました。
原案100%筆者。
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