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第二章:フルカラーの停滞(18)


 和真はふらふらと歩み寄り、結衣の前に膝をついた。


 床に散らばった彼女の髪を、震える手で拾い上げる。


 つい数日前まで、彼女の体温を宿し、風に舞っていたあの髪。


 今はただの死んだ繊維の束として、和真の指先を冷たく撫でる。


「……なんで、相談してくれなかったんだ。小児科、大変だったんだろ?


 評価されて異動したなんて、嘘だったんだろ?」


 和真の問いに、結衣は答えない。ただ、子供のように肩を震わせていた。


「嘘をついてたのは、僕も同じだ。……仕事、全然上手くいってない。


 また壊れそうなんだ。結衣がいないと、僕はもう、立っていられないんだよ」


 和真は彼女の短くなった髪の根元に顔を埋め、声を上げて泣いた。


 二人は、お互いを救い合っているつもりで、


 実際には、相手の重みにしがみつき、一緒に底なし沼へと沈んでいたのだ。


 雨音だけが、静まり返った部屋に響き続ける。


 和真の手の中に残された黒髪の感触が、


 失われた日々の残像として、いつまでも、いつまでも消えなかった。


 愛とは、これほどまでに残酷なものだったのか。


 それとも、これは最初から、愛などという綺麗なものではなかったのか。


 春の終わりに交わした「約束」は、


 今、冷たい雨の降る六畳二間で、修復不可能なほどに砕け散った。



この作品はAI40%、筆者60%で書きました。

原案100%筆者。

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