第二章:フルカラーの停滞(14)
運命の夜は、激しい雷鳴と共に訪れた。
悠真の容態が急変し、病棟中にコードブルーの放送が響き渡る。
結衣は必死に心臓マッサージを繰り返す医師の傍らで、
震える手で処置の補助を行っていた。
モニターが刻む無機質な電子音。それが、不意に長い平坦な音に変わる。
「……悠真くん。悠真くん!」
結衣は叫んだ。医師が静かに首を振り、宣告の時刻を告げる。
つい数時間前まで、結衣の指を弱々しく握り返していた手のひらが、
今は驚くほど速く、冷たくなっていく。
悠真の両親が泣き崩れる横で、結衣はただ、立ち尽くしていた。
心療内科で見てきた「心の死」とは違う、取り返しのつかない「肉体の死」。
彼女の頭の中で、何かが「ぷつり」と音を立てて切れた。
和真を救い、悠真を救い、そうして初めて自分は呼吸ができるのだと、
そう信じていた彼女の拠り所は、真っ白なシーツに覆われた少年の
亡骸と共に、永遠に失われてしまった。
彼女が守りたかった色彩は、少年の命と一緒に、
この冷たい床に、真っ黒な液体となって流れ出していった。
この作品はAI40%、筆者60%で書きました。
原案100%筆者。
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