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第二章:フルカラーの停滞(13)


 小児科病棟の空気は、心療内科のそれとは根底から異なっていた。


 廊下を走るナースの足音、消毒液に混じるミルクの甘い香り。


 そして何より、抗いようのない「死」の気配が、あまりに幼い顔をして


 病室の隅々にまで忍び寄っていた。


 結衣は、一人の少年を受け持っていた。悠真という名の七歳の男児だ。


 心療内科では、患者の「生きたい」という意志を繋ぎ止めるのが仕事だった。


 けれどここでは、生きたいと願う子供の命が、指の間から砂のように


 こぼれ落ちていく。悠真は、日に日にその小さな身体を細らせていた。


「結衣ねえちゃん。僕、元気になったら、和真くんに会えるかな」


 結衣が思わず漏らした恋人の話を、少年は宝物のように覚えていた。


 その言葉を聞くたび、結衣の胸には鋭い棘が刺さった。


 かつての患者であった和真を救えたという傲慢な自信が、


 この幼い命の前で、無残にも打ち砕かれていく。


 結衣は悠真の手を握り、「そうだね」とまた嘘を吐いた。


 誰かを救うことで自分を許すという「病」は、小児科という戦場で


 彼女の精神をより深く、致命的に蝕んでいった。


この作品はAI40%、筆者60%で書きました。

原案100%筆者。

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