第二章:フルカラーの停滞(11)
和真の復職が決まった夜、二人はささやかな祝杯を挙げた。
結衣は自分の苦境を隠し、和真の再就職を心から喜んでいるように振る舞った。
「おめでとう、和真くん。無理はしちゃダメだけど……本当に良かったね」
彼女は甲斐甲斐しく酒を注ぎ、和真の好物を用意した。
その笑顔の裏で、小児科病棟での「死」に怯える自分を押し殺して。
和真もまた、喉の奥に広がる吐き気を、アルコールと一緒に飲み下した。
「ああ、頑張るよ。結衣に追いつきたいからさ」
和真は、結衣の黒髪に手を伸ばした。
指先に触れる髪の冷たさが、今の和真には心地よかった。
お互いに大きな嘘を抱え、薄氷の上に築かれた「再生」という名の虚構。
それは、色彩を塗り重ねすぎて、いつしか真っ黒な闇に変わる手前の色だった。
翌朝、和真は数ヶ月ぶりに窮屈なスーツに身を包んだ。
ネクタイを締める手が、微かに震える。
結衣は玄関で、和真の襟元を丁寧に整え、いつものヘアピンで髪を結い上げた。
「行ってらっしゃい。夜、美味しいもの作るからね」
「行ってきます。……結衣も、仕事、気をつけて」
二人は別々の「戦場」へと向かって歩き出した。
和真が足を踏み入れたのは、かつて自分を殺したのと同じ、
終わりのない修正依頼と、怒号が飛び交う、色彩を剥ぎ取られた世界だった。
この作品はAI40%、筆者60%で書きました。
原案100%筆者。
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