第二章:フルカラーの停滞(10)
結衣が「評価されて小児科へ移った」という言葉は、和真を激しく焦らせた。
彼女はボロボロになりながらも、確実に前へ進み、誰かに必要とされている。
それに引き換え、自分はどうだ。
不採用通知の山を前に、昼間から薄暗い部屋で丸まっているだけの存在。
結衣が仕事で流す汗や涙さえ、今の和真には輝かしい勲章のように見えた。
「……このままじゃ、彼女に捨てられる」
その恐怖が、和真の理性を塗り潰した。
彼は就職サイトの条件を、以前よりも遥かに過酷なものへと広げた。
「未経験歓迎」「裁量労働制」「即日勤務可能」。
それはかつて自分を壊した場所と、同じ匂いのする言葉の羅列だった。
数日後、和真はある中小の広告制作会社の面接に漕ぎ着けた。
雑居ビルの一室。タバコの煙と、充満する栄養ドリンクの臭い。
乱雑に積み上げられた資料と、死んだ魚のような瞳でモニターに向かう社員たち。
和真の身体は、本能的に拒絶反応を示し、心臓が早鐘を打った。
けれど、面接官が放った「明日から来れるか?」という言葉が、
和真にとっては、地獄からの救いの一手のように聞こえてしまったのだ。
この作品はAI40%、筆者60%で書きました。
原案100%筆者。
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