第二章:フルカラーの停滞(7)
その決定は、あまりにも唐突で、事務的な宣告だった。
高木とのトラブルから数日、結衣は針のむしろのような病棟で働き続けていた。
ミスはしていない。指示も完璧にこなしている。
けれど、ナースステーションの空気は、彼女がそこにいるだけで凍りついた。
昼休憩、師長に呼び出された結衣は、無機質な面談室の椅子に座っていた。
「鈴木さん。今回の件、上層部でも重く受け止めているわ」
師長の声には、かつての慈愛は欠片も残っていなかった。
「患者との境界線を引けない看護師は、ここではリスクでしかないの。
高木さんのご家族からも、厳しいお叱りを受けている。わかるわね?」
結衣は何も言えず、ただ膝の上で拳を固く握りしめた。
言い訳など、この「合理性」が支配する場所では意味をなさない。
「来月一日付で、小児科病棟への異動を命じます。
あちらは今、人手不足で猫の手も借りたい状況よ。
あなたのその『過剰なまでの献身』、子供相手なら少しは役に立つでしょう」
小児科。それは、精神科とはまた異なる、生と死が残酷に交差する場所だった。
そして何より、それは結衣がこの病院で積み上げてきた全てを否定し、
「不適格者」として追放されることを意味していた。
この作品はAI40%、筆者60%で書きました。
原案100%筆者。
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