第一章:標の残像(3)
その日は、重要なプレゼンの日だった。
朝から胃の奥がキリキリと痛み、冷や汗が背中を伝う。
徹夜で仕上げた企画書を手に、僕は会議室のドアを開けた。
クライアント企業の重役たちが、ずらりと並んだテーブル。
全員の視線が、僕の立つプレゼンテーションスペースに集中する。
深呼吸を一つ。
喉が張り付いたように乾き、声が出にくい。
スクリーンに映し出された僕のデザインは、
昨日まであれほど完璧だと思っていたのに、
今はどこか薄っぺらく、何のメッセージも持たないように見えた。
「……本企画は、ターゲット層の潜在意識に訴えかける……」
必死に言葉を紡ぎ出すが、頭の中は真っ白だった。
心臓が、まるでマラソン選手のように激しく鼓動する。
周りの音が、急速に遠ざかっていく。
視界の端が、暗いモザイクのように歪み始めた。
「佐藤、大丈夫か?」
上司の声が、水中で響くように聞こえる。
大丈夫なわけがなかった。
僕は、自分の両手が制御不能なほど震えていることに気づいた。
息ができない。肺が酸素を拒絶している。
膝から力が抜け、そのまま床に崩れ落ちた。
クライアントのざわめき。
「救急車を!」と叫ぶ上司の声。
僕の意識は、真っ暗な深淵へと沈んでいった。
最後に聞こえたのは、心臓が爆発するような、激しい音だけだった。
それは、僕がブラック企業で培ってきた、全ての無理が弾けた音だった。
次に目を開けたとき、目の前にあったのは、
見慣れない白い天井と、消毒液のツンとした匂い。
そして、一筋の光が差し込む窓の外には、
青空がどこまでも広がっていた。
僕が意識を失うまで見ていた、あの濁ったモニターの青とは違う、
どこまでも澄んだ、本物の青だった。
この作品はAI40%、筆者60%で書きました。
原案100%筆者。
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