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しかし俺も君も変質し続ける。肉体的にも精神的にも変わり続ける。存在の価値が変動し続ける。いつか俺が大切に思っていた君ではなくなったり、君が大切にしていた俺ではなくなる可能性がある。金槌で叩かれた指輪みたいに変形したり、パーツの剥がされた車みたいに無様になったり、疲弊した農家の顔写真みたいに惨めな見た目になったりするかも知れない。
それでも女子高生が売った服に付けられた顔写真のように記憶の中の俺や君は変質しない。それには価値がある。そこには価値がある。君と過ごした日々、明かした夜、越えた季節には価値がある。それは絶対的なものだ。
例え俺や君が急にジョナサンとなって空をきりもみしながら飛ぶことになったとしてもその日々の、時間の、瞬間の価値は絶対に変わらない。
いや、正確に言えば変えない努力をするし変えさせない努力をすると言う話だけれど。価値は後から発生する。だからその時に最高値である事は難しいとしても、損切りさせない程度には価値を下げない努力をしたい。追証を支払う羽目になるなんてのは避けたいね。




