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【58】首都マトラへの選考会

 その夜、マトラへ行くこととなる魔戦士組合員の発表を行う為、組合員達に集合がかけられた。


 組合員のテントにアンモチン大佐と軍の兵隊達がやって来た。


「では、これからマトラ王国の首都、マトラ新市街に行ってもらう事になる組合員の発表を行う

 この選出は本国マトラによって決定されたものであり、出頭要請と同等の強制力を持つものである

 無論タダでと言う訳ではない、選ばれた者には更に後ほど100万丸を与える」


 ほほぉ、追加で100万丸出すなんて軍って随分太っ腹だなぁ。まぁ逆に考えれば、選ばれた者が行くことにそれだけの価値があるって事なんだろうけどさ。

 色々と憶測が浮かぶけど、それは行けば分かるだろう。あたしが選ばれるとは思えないけど行った者に後で聞けばいい事だ。


「スフェーン・アウインとシンナバー・アメシス、前に出なさい」

「「はい」」


 おっと、やっぱあの二人だ、戦況を大きく変化させられる程の二人だから当然か。

 スフェーンとシンナバーはアンモチン大佐の前に並んだ。


「ふむ、キミ達の噂は本国にも届いていたらしい、参加者名簿から無選考で指名されたそうだぞ」


 うわぁーーッ! あの二人国家にまで認められてるよ。一瞬、後でクラスメートだったんだってみんなに自慢しちゃおうかって思う位にビックリしたよ。


「それとは別枠で軍からも無選考の指名が出ている、クリーダ・ヴァナディン前へ」

「……はい……」


 まぁ、クリーダが指名されるのも当然だろうね。スフェーンとシンナバーは国家からの指名で、クリーダは軍からの指名か。何だかわかんないけど、一大プロジェクトの匂いがするぞ。


「無選考枠はここまでだ、次に選考枠を発表する」


 さぁて、選ばれるのは一体誰なんだぁ? あたしはすっかり他人事モードになってたんだ。


「……大……ですか?」


 あたしは誰かに体を揺さぶられてハッと我に返った。


『はれ?』

「もう終わってますよ?」


 周りを見ると、アンモチン大佐や軍の兵隊の姿は既になく、組合員達もそれぞれ自由にしていた。


『ふぅ……何かすっごく疲れた……』

「二人とも凄いじゃない! 指名されるなんて!」


 ミメットは代えのメガネを掛けていつものお返しか、固まったあたしの背中をさすりながら言ったんだ。


『あ……え? 夢じゃなかったのかんにゃん?』

「ちゃんと名前呼ばれてたでしょ?」


 それまで夢か幻かって思っていた内容はこうだ。

 選考枠で呼ばれたのはあたし一人だけだった、魔物の融合体を解体した事が評価されたとか言っていた気がする。


「いや、実際よくやったと思う

 キミが居なかったらヘリオを殺す事になっていたかもしれないし、ミメットも実際危ない状態だったらしいから当然の結果だろう」


 エルバはそう言ってくれたけど、あたしが認められた事がちょっと信じられなかったんだ。


「んと、改めてお礼を言わせてね、助けてくれてありがとう」


 ミメットがペコリと頭を下げてあたしにお礼を言った。


『気にする事ないんにゃん

 お礼ならお背中スペスペ無期限フリーパスでもらってあげる』


 と言って、あたしはキュピーンと目を光らせた。


「それは……あの……」


 ミメットはちょっと顔を赤くして困った様でいて、実はまんざらでもない様な表情で言った。しめしめ、順調に……。


『いッッ!』


 あたしは突然チクっとした痛みがして瞬間的に声を出した。背中をクリーダにツネられたんだ。


「あら? どうしました?」


 澄ました顔で言うクリーダ。


『あ……、フリーパスってのは冗談ね』

「そ、そうだよねー! ビックリさせないでぇ」

「余り人をからかうものじゃありませんよ」


 クリーダがあたしにニッコリ微笑むのを見て、あたしも頬を引きつかせながら微笑んで返した。あんまり遊びが過ぎると今に大変な目に合いそうな予感がする……肝に銘じておこう。


『そんじゃ、おやすみの準備でもしようかんにゃん』

「そうですね、今日は色々ありましたし」


 ちょっと早いけど明日に備えて布団を敷いてたらスフェーンがやって来た。


「ねぇ、おチビたん達って乗り物でしょぉ?

 あたし達もマトラまで乗っけてってぇー」

「もちろん帰りも送ってってくれるよねッ!? 当然タダでだけどねッ!?」

『あうん、それはいいけど

 まさかあたしが指名されるなんて思わなかったんにゃん』

「あなたはもっと自信を持っていいと思いますよ」

「アハハッ! おチビたんはやれば出来る子なのよぉ? あたしには分かってたわぁー」

「うんだ、あたしにも分かってたんだからッ! いつかは何かやらかす子だってッ!」


 うれしいなぁ~! クリーダはもちろん、スフェーンやシンナバーも珍しく褒めてくれた……うん? やらかす子?


『んなーーーッ!? やらかすって犯罪者かッ! 犯罪者扱いなのかーッ!』

「でたぁーーーッ! おチビ節! 超久々だねーーッ! なっつかしい!」

「アハハハハッ!

 さぁて、久々におチビたん節も聞けた事だし、今日は姉妹で仲良く寝ちゃってみるぅ?」

『姉妹って……だれが!?』

「だってあたし達ってみんな、おチビたん姉妹じゃない」

『うげぇーーーッ! スフェーンが凄い事を言いやがったッ!』


 しまった……心に思うべき事がまた声に出たじゃないか。大声出したせいでみんなが一斉にこっちを見ていた。


「あ? なんだ楽しそうだな? オレも仲間に入れてくれよ」


 いつの間にかヘリオが近くにやって来ていた。軍の指名の時またどっかに行っちゃって居なかったのに、いつの間にか戻って来ていたらしい。


「あらぁ? ヘリオも仲間に入りたいのかしらぁ?

 残念だけど今回は姉妹限定なのよぉ?」

「姉妹ぃ? お前達って姉妹だったのか?」

「ふふーん、だからって血縁での意味じゃぁないよッ! 大人の事情って事だよッ! 後はわかるな?」


 シンナバーがエッヘン! と言う感じのポーズで胸を張って言い切った。あちゃぁ……この二人と来たら……。クリーダがすっごい不満そうな顔をしていた。


「ダメですッ! この子はもうわたしに誓ったのですから!」


 ってとうとうクリーダが言ったらスフェーンとシンナバーが爆笑してた。クリーダまであの二人におちょくられてるよ。


「何か言葉が出んわ……」


 そりゃそうだ、ヘリオの反応はごく普通だよ。ついでに言えば周りで見てて固まっちゃってるみんなもごく普通の反応だ。


『そう言えば、ヘリオってマトラには行くのかんにゃん?』

「んあ? あぁ一応行く事になってるけど」

『じゃぁ、一緒に乗ってく? 乗り物には6人位は乗れると思うんにゃん』

「お、そりゃ助かる、頼むわ」


 ヘリオの剣は少し長いけど、後ろのドアを開けてちゃんと固定しておけば大丈夫だろう。


「運転はわたしがしますね、あなたはそろそろ……」

「あぁ、そうだったな、何ならオレがしてもいいぞ」

『う……、お願いするんにゃん』


 何か少し恥ずかしかった。前は何とも思わなかった生理の事だけど、何故か今は言う事にも抵抗を感じていた。因みに予想では明日か明後日位にはいらっしゃるだろう。


「そろそろって生理ぃ? お大事にねぇ」

「うむ、おチビにもちゃんと来るんだねッ! あたし達にとっては全く無意味な事だけどねッ!」


 ふぅー……、しかし今のタイミングで来るとはめんどいなぁ。明日帰ればギリギリって思ってたんだけど、お国の要請じゃ断れないからしょうがないや。


 ヘリオを含め、あたし達5人が首都マトラへと行くことになったんだ。


一週間位でまとめる予定でしたが、まだ大分かかるかもしれません。。

今後、王国の人間が出てくる予定です。

魔戦士組合員が王国にとってどういうものなのかがぼんやり見えて来るかも、来ないかも。


もう少しばかりお付き合い下さい^^こればっかですみません

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